冠根の太さ15263748■ 根の形態的多様性畑ほ場で栽培したイネの根のサンプリング工程 (撮影:寺本翔太氏)イネ亜種間における茎の本数と冠根の太さ (Kawakatsu et al., 20213)を改変)それぞれの亜種が茎の本数と冠根の太さの組み合わせで特徴を示す(直線)。円筒モノリスの円筒モノリスの設置土と根の打ち出し打ち出された土と根円筒モノリスへのワイヤー取付け打ち込み根の回収円筒モノリスの回収根の洗浄図2図3 (撮影:寺本翔太氏)NARO Technical Report /No.12/2022混合品種アウス品種(mm)1.00.90.80.710インディカ品種ジャポニカ品種3020茎の本数405015そっこんかんこんよって異なります。WRCの内、つくば市の野外日長条件で開花する57品種と、コシヒカリなどの代表的な品種4品種を含む計61品種を農研機構(つくば市)の畑ほ場で栽培しました。この畑ほ場は水田に比べると土壌水分含量が低いため、イネにとってはストレス条件で、品種によっては収量が半減します。 根の形態を解析するには、まず土中の根を掘り起こして回収する必要があり、多大な労力と時間を要します。植物体の周りに鋼鉄製の円筒モノリスを打ち込み、根を土ごと回収することで、土中における形状を維持した根系を回収することができます。円筒モノリスの打ち込みと回収にバックホー※2を用いることで多数の植物体の根を効率的に回収することが可能です(図2)5)。回収した根を洗浄し、1本1本に分解した後に、スキャナで画像化して根の形質を計測しました。根は太い冠根と、冠根から生えてくる側根があり、それぞれ性質が異なるため、冠根と側根は分けて計測しました。WRCの根の形態的多様性は、①バイオマス、②冠根の太さ、③側根の太さ、④根が伸びる方向、の4つの形質で特徴付けることが可能でした。バイオマスは茎の本数を反映しており、茎の本数と冠根の太さの組み合わせが亜種の特徴を反映していました。ジャポニカ品種は茎の本数は少ないが冠根は太い、インディカ品種は茎の本数は多いが冠根は細い、アウス品種は茎の本数は中程度で冠根は太い、という亜種ごとの形態的特徴が明らかになりました(図3)3)。
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