■方法 農研機構および苗生産企業の育苗苗を供し、接ぎ木試験を行い、作業能率および活着率※9の調査を行いました。供試苗の条件を表1に示しました。セルトレイは200穴規格を使用し、品種は、農研機構では台木「ボランチ」、穂木「ホーム桃太郎」、苗生産企業では台木「ボランチ」、穂木「CF桃太郎」を使用しています。供試苗数は、奇形苗や未発芽などを除き、農研機構ではセルトレイ1枚分の170本、苗生産企業では3枚分の544本とし、接ぎ木試験を行いました。■結果 作業能率および活着率の結果を表2に示しました。開発機の作業能率は、450〜520本/hとなりました。熟練作業者による接ぎ木作業が200本/hであるのに比べると、2.25〜2.6倍の能率となっています。また、1週間後の活着率を調査した結果、これらの条件において、いずれも90%以上となり、熟練作業者と同等程度であることを確認しました。試験2について、接ぎ木から2週間後の接ぎ木苗および樹脂製テープの様子を図4、5に示しました。本装置では、台木と穂木の茎の直径の差が平均で0.6mm程度以内の苗で、表1に記載した大きさ程度の苗条件にて、良好に作業可能であることを確認しています。■ 接ぎ木試験 *1 農研機構にて育苗、調査数:10本(10本/200穴トレイ)、品種:台木「ボランチ」、穂木「ホーム桃太郎」*2 苗生産企業にて育苗、調査数:30本(10本/200穴トレイ×3枚)、品種:台木「ボランチ」、穂木「CF桃太郎」P:ピン試験1170供試数(本)52491.7*養生・順化期間:5日、活着率調査:接ぎ木後7日試験2*2第1節間長(mm)胚軸長(mm)胚軸径(mm)台木2.4穂木1.41.62.61.32.2試験254444692.1穂木34.1台木57.145.060.027.051.0樹脂製テープの連続的な供給方法供試苗の条件胚軸径(mm)台木2.0穂木1.4平均1.6最大1.1最小試験1*1第1節間長※11(mm)胚軸長(mm)穂木32.72.343.01.720.0作業能率および活着率作業能率(本/h)活着率(%)*台木50.571.037.0図3表1表2NARO Technical Report /No.12/202228トマト用接ぎ木装置を開発もに、右端については、溶着と同時に切断を行うことで、1つの接合資材および接ぎ木苗を作製します(図3③)。機体側に残された樹脂製テープの両端についても溶着されているため、以降は、②③の繰り返しにより、連続的に供給しています。樹脂製テープのテンションは、テープ供給部のトルクモータによって制御しています。①開始②回転後③溶着・ 切断後
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