農研機構技報No.12
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elataP.vP.vorahiicrogicuurbitaaraP.csisP.abilisntoaniastruD.bukP.meP.fueennenpsaspsaxesn健茎ょブールィロテト根ネコガンしん8sardse0atataD.doD.nD.seD.g 塊全か■ リアルタイムPCRによる検出精度258 図4リアルタイムPCRの工程 Ct値:リアルタイムPCRで標的DNAの陽性結果が得られるまでの反応サイクル数。Ct値が低いほど、目的の初期DNA量が多い。 Tm値:二本鎖DNAが一本鎖DNAに解離する温度。PCRの増幅断片が目的のものかどうかを判定できる。40302010配列(5ʼ−3ʼ)32サイクルPCR増幅 30秒96℃30秒55℃対象病原菌断片長(bp)サツマイモ基腐病菌15秒95℃30秒72℃15秒95℃1分60℃図5リアルタイムPCRによる基腐病菌の特異的検出 D.batatas:乾腐病菌、D.destruens:基腐病菌 D.gardeniae, D.nobilis, D.santonensis, P.asparagi, P.cucurbitae, P.fukushii, P.macrospora, P.velata, P.vexans:近縁の糸状菌Ct値はリアルタイムPCRで標的DNAの陽性結果が得られるまでの反応サイクル数。D.destruensはCt値16で陽性となったが、他の菌、健全かんしょ、ネガティブコントロールでは、陰性となった。サツマイモ基腐病菌の検出・同定のためのPCRプライマープライマー名DdITS-FGTTTTTATAGTGTATCTCTGAGCDdITS-RGGCCTGCCCCCTTAAAAA Ct値Ct値Tm値表11分94℃NARO Technical Report /No.12/2022サツマイモ基腐病菌の新しい検出・同定技術初期変性融解曲線分析 す。リアルタイムPCRに使用する機器および試薬については、各社から販売されていますので、診断を開始する前に実験系の確認をする必要があります。筆者らは、機器はQuantStudio5リアルタイムPCRシステム(Thermo Fisher Scientific社)、試薬はTB Green Premix Ex TaqⅡ(Tli RNaseH Plus)(TaKaRa Bio社)を使用し、良好な結果を得ています(図3)。PCRプライマーは基腐病菌に特異的なDdITSプライマーセットを用います(表1)。リアルタイムPCR工程の条件は図4の通りです。病斑組織から抽出したDNAと同時に、ポジティブコントロール(陽性対照)として基腐病菌の菌体または胞子由来のDNA、ネガティブコントロール(陰性対照)として健全かんしょ株の茎または塊根由来のDNAおよび滅菌水を供試し、リアルタイムPCRを行い、陽性となる結果が得られるまでの反応サイクル数(Ct値)や増幅産物の融解温度(Tm値)を比較することで、基腐病の判定を行うことができます。 基腐病菌、乾腐病菌および近縁の糸状菌について、培養菌体から抽出したDNAを鋳型として、リアルタイムPCRを行ったところ、基腐病菌のみで特異的な反応が見られ、乾腐病菌と近縁の糸状菌では反応は見られず、誤診の可能性は極めて低いことが確認できました(図5)。融解曲線分析によって、基腐病菌に特異的な融解温度(Tm値)は86.9(±0.4)℃でした。リアルタイムPCRでの検出限界(下限)は0.0005ng/μL濃度であり、胞子数に換算すると100個の胞子から抽出したDNAの量で検出が可能です。

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