農研機構技報No.13
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にこまる初星、祭り晴ヒノヒカリあきさやかヒノヒカリ0.400.200.00-0.20-0.40-0.60-0.80-1.00(%)20181614121214161820(%)平均値にこまる 17.7ヒノヒカリ 16.9暖地地域の高温登熟耐性基準品種熟期極早生・早生なつほのかおてんとそだち中生晩生・極晩生硬さ「にこまる」の食味特性2000年から2013年産米を用いた合計30回の平均。12点法で実施。食味評価は基準品種「コシヒカリ」0に対し、総合、外観について­5〜+5の11段階で、粘り、硬さ、味については­3〜+3の7段階で評価。総合、外観、味では+は基準より良く、­は基準より劣ることを示す。粘りでは+は強く、­は弱い。硬さでは+は硬く、­は軟らかいことを示す。やや強みねはるかコガネマサリニシヒカリ総合粘り高温登熟性やや弱黄金晴シンレイたちはるか強中弱味日本晴にこまる外観白米のアミロース含有率生産力検定試験(育成地、2008年〜2019年)表3図3図4NARO Technical Report /No.13/2022にこまるヒノヒカリ日本晴コシヒカリ28高温登熟耐性の水稲品種「にこまる」外観品質に関連する高温登熟耐性について、九州地域の公設試験研究機関と当センターとで連絡試験が行われました。その結果、熟期ごとの高温登熟耐性基準品種が選定され、中生では「にこまる」が「ヒノヒカリ」より2ランク強い“中”に分類されました3)(表3)。 「にこまる」の食味は図3に示す通りで、白飯の外観、硬さ、粘り、味、総合値とも「ヒノヒカリ」および「コシヒカリ」並みになっています。食味に関連する成分のうち、白米アミロース含有率は17.7%で「ヒノヒカリ」よりやや高く(図4)、玄米タンパク質含有率は6.0%で「ヒノヒカリ」よりやや低くなっています(図5)。長崎県産「にこまる」が2008年から5年連続、(一財)日本穀物検定協会の食味ランキング4)で特Aを獲得したのを皮切りに、2021年までに高知県県北、高知県県西、静岡県西部、愛媛県を含めて延べ23地区が特Aになっています。同期間の「ヒノヒカリ」の特Aは延べ38地区でしたが、直近5年間では「ヒノヒカリ」の16地区に対して「にこまる」は17地区で拮抗しています。因みに、「にこまる」の親の「きぬむすめ」は19地区になっています。また、日本最大の食味コンテストである米・食味分析鑑定コンクールにおいて、高知県四万十町の「にこまる」が2010年に初めて金賞を受賞しました。その後、「にこまる」は金賞受賞の常連となり、「コシヒカリ」に次ぐ地位を占めています。「ヒノヒカリ」に比べても玄米千粒重がやや重く(表1)、タンパク質含有率がやや低く(図5)、炊飯米の白さが際立っている(データ略)ことが入賞しやすさの一因になっていると推察されます。極良食味に特化して、高付加価値販売をねらって栽培品種をお探しの生産者の皆さまには「にこまる」は打って付けと考えられます。

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