農研機構技報No.13
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 農研機構では多くの作物の育種を行っていますが、いずれも気候変動に耐え、持続可能性の高い品種を作ることを重要な育種目標としています。 本号では「品種開発Ⅳ-温暖化に耐える」と題し、農研機構が開発した作物の品種の中で、とくに気候変動や温暖化によって生産性や品質が低下するのを避けるねらいで育成されたものをご紹介しています。 野菜では、高温化でも収量・外観品質などが低下しにくいナス・ネギ、果樹では高温化でも食味などの品質が低下しにくく、より安定して着果できるリンゴ・モモ・ナシ、そして登熟期の高温で玄米の品質が低下しにくく美味しい水稲、夏季の高温による収量低下が起きにくい(越夏性が高い)牧草の品種も紹介しています。 なお、「気候変動」で特集を編んだ技報第7号の記事「ブドウ着色不良の発生拡大を予測する」では、高温による果皮の着色不良が発生しにくい黒色ブドウの品種「グロース・クローネ」を紹介しています。 これら生産性向上と環境保全の両立を目指し得る品種たちを、ぜひ皆様の手で積極的に活用・普及していただけることを願っております。(編集委員長)リンゴ「ふじ」の原木 (岩手県盛岡市 果樹茶業研究部門 盛岡研究拠点)NARO Technical Report /No.13/202238〉〉 古きをたず(温)ねて新しきを知る ABE Kazuyuki 阿部 和幸             HistoryEditor’s Note編集後記果樹の新品種開発について温故知新

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