■ 高アミロース米の特徴Wx-mqWx1-1WxbWxa太字で示した栽培面積の多い上位3品種が全生産量の半分を占める澱粉のモデルと構成成分二國二郎(1969)3)、Lineback, D. R.(1986)4)より作成。米の品種とアミロース含有率を左右する遺伝子品種名アミロース含有率ミルキークイーンさんさんまる亜細亜のかおり越のかおりふくのこ北瑞穂コシヒカリひとめぼれヒノヒカリあきたこまちななつぼしつきあかりにこまるきぬむすめ(低アミロース米)(中アミロース米)(高アミロース米)アミロースアミロペクチン遺伝子型9〜15%15〜20%27〜32%主な用途ごはんチルド米飯ごはん米粉麺パスタ図2表2NARO Technical Report /No.14/2023グルコース31一で・軟らかく・まとまりやすく・くっつかない、といった特性が求められます。嚥下能力によって処理可能な食品の形態は異なるため、嚥下機能の段階に応じて嚥下調整食が分類されています(図1)2)。 米は主食として重要な食べ物ですが、粒があるため嚥下機能が低下すると誤嚥しやすくなります。介護食の主食となる米の調理は、食べる人の嚥下機能に合わせて、軟飯、全粥、五分粥など水分を多くしていく作業があり、さらに粥の粒が残留する場合はミキサーにかけて均一化する作業が加わります。しかも、普通の粥をミキサーにかけると粘りが出て「でんぷんのり」の状態になって飲み込みにくくなってしまうことから、粥をミキサーにかける際には澱粉分解酵素とゲル化剤を加えて物性を調節する手間がかかります。 私たちが普段食べているお米は稲の種子で、その成分の9割が澱粉です。澱粉は、植物が光合成によってつくりだしたグルコースが貯蔵に適した形態に重合した巨大な分子で、グルコースが直鎖状に結合したアミロースと、分岐構造を持つアミロペクチンによって構成されます3)4)(図2)。澱粉中のアミロースの割合をアミロース含有率と呼び、米の場合、アミロース含有率が少ないほど、軟らかく粘りのあるご飯になります。日本で栽培されている米のほとんどがアミロースの割合が15〜20%の中アミロース米で、アミロースが0%の米がモチ米です。アミロース含有率が25%以上の米は高アミロース米と呼ばれ、炊飯すると硬くパサパサとしたご飯になりますが、リゾットやピラフ、米粉麺への加工などに適しています。米のアミロース含有率はイネの澱粉合成酵素の多型によって決まるため、品種ごとにアミロース含有率は異なります(表2)。アミロース含有率は米の加工特性を左右するため、その用途に応じて最適なアミロース含有率の米の品種を選択する必要があります。 澱粉に水を加えて加熱すると、澱粉粒は膨潤して透明度が上がり、粘度が上昇する「糊化」という現象が起こり、
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