農研機構技法No.14
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高アミロース澱粉のゲル化模式図米粒加水・加熱米粒製粉米ゲルと米粉ゲル米粉への加水量と得られる糊を冷却した際の性状米粉の種類高アミロース米中アミロース米+水+熱炊飯米高速せん断米粉加水・加熱6倍加水10倍加水(9.1%)ゲルゲル硬く脆いゼリー状ゲルゲル餡子状軟らかい団子状澱粉が膨潤してアミロースが溶出ゲルゲル高アミロース米粉ゲル(左)と中アミロース米粉ゾル(右)15倍加水(6.3%)ゲルゼリー状ゾル糊状冷却20倍加水(4.8%)ゾル※2糊状ゾル糊状溶出したアミロースがネットワークを形成米ゲル米粉ゲル図3図4表3(米粉濃度14.3%)図5NARO Technical Report /No.14/202332介護食用米粉の開発糊化老化糊化した澱粉粒は冷やすと収縮して「老化」します。糊化の際には澱粉粒からアミロースが溶出しますが、溶出したアミロースが多い場合、老化の際にアミロース同士が結びついて網目構造を形成し、膨潤した澱粉粒を抱え込んでゲル※1が形成されます5)(図3)。農研機構では数年前に、高アミロース米の炊飯米を高速せん断することで得られる「米ゲル」を開発しました6)。米ゲルは米粒を糊化させてから均一化しますが、炊飯前米粒を製粉した後に糊化することもできます。つまり、高アミロース米の米粉からも、水を加えて加熱することで得られる糊を冷却して「米粉ゲル」を得ることができます(図4、5)。この高アミロース米粉ゲルは、普通の米粉とは異なりべたつきが少なく、口どけが良く飲み込みやすいという特徴があります。私たちは加水量と物性を調査し、高アミロース米の粉に対して水を10倍量加えるとゼリー状になり、嚥下調整食に適する物性を示すことを明らかにしました7)8)(表3)。

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