3GS_KK1GS_KK2GS_KK3GSP2GSP1GSP3A_GSM1A_GSM2A_GSM3GSA1GSA2GSA3GM1GM2GM2GM_KK3GM_KK1GM_KK3P_GSM2P_GSM1P_GSM3TM1TM2TM2TM_KK3TM_KK1TM_KK2VO3VO1VO3BF1BF2BF3BF_KK2BF_KK1BF_KK3TT2TT1TT3TT_KK2TT_KK1TT_KK3M_GSM2M_GSM1M_GSM図の一部は©2019 DBCLS TogoTV/CC-BY-4.0から図2各組織の網羅的遺伝子発現量を比較し、類似しているサンプルが近くに来るように分類した図 (参考文献3をもとに作成)TT:精巣、MG:中腸、FB:脂肪体、OV:卵巣、MT:マルピーギ管、ASG:前部絹糸腺、MSG_A:中部絹糸腺前部、MSG_M:中部絹糸腺中部、MSG_P:中部絹糸腺後部、PSG:後部絹糸腺、SG:絹糸腺 注)KK_が頭にあるサンプルは公共データベースから取得したRNA-Seqを再解析して得られた発現プロフィールを指します。サンプル名の数値はそれぞれの繰り返し実験の反復数を指します。遺伝子の機能に関するデータは少ないカイコ遺伝子とヒト、ショウジョウバエの遺伝子の対応づけカイコ 遺伝子の機能に膨大なデータが紐づいているショウジョウバエヒト 図3遺伝子の対応づけヒトやショウジョウバエのデータがカイコで使えるNARO Technical Report /No.15/202424カイコの遺伝子発現データの拡張とその利用フィールが似ているということが明らかになりました。これは得られたデータの信頼性が高いことを示しています。■ ヒトやショウジョウバエの遺伝子との対応づけ (データの連携) 遺伝子関連データ作成において、各々の遺伝子の機能(タンパク質の機能)を予測・付与することはデータ作成の上で重要です。遺伝子機能を付与する場合にはアミノ酸の配列の類似性を利用して付与します。例えば2種類のタンパク質のアミノ酸配列が似ているとその2種類のタンパク質の機能は同じような機能を持つことが知られています。機能が知られているハエの遺伝子Aとカイコの遺伝子Bが類似していた場合はカイコの遺伝子Bの機能は「ハエの遺伝子Aの機能と類似している」と予測しデータに付与します。このような特徴を利用して、公共データベース中に登録されているアミノ酸配列情報を利用して、それぞれの遺伝子と配列類似性が高いタンパク質を検索し、その結果からそれぞれの遺伝子の機能情報の付与を行います。これを機能アノテーションと呼びます。一般的な昆虫の遺伝子データを用いて遺伝子の機能アノテーションを行うと、遺伝子の機能情報が付与される遺伝子の割合が他のよく研究されている生物(例えば、ヒトやショウジョウバエなど)に比べると少なく、それはカイコも例外ではありません。このため、機能情報が付与されていないと、遺伝子発現情報を活用した様々な解析結果を解釈することができません。例えば、絹糸腺で発現が高い遺伝子を取り出してきた場合、それらの遺伝子群の機能が付与されていないと、絹糸腺ではどのような生命現象が起きているか、わかりません。一方、ショウジョウバエやヒトは、これまでの研究結果により膨大な知見やデータがデータベースに蓄積されています。これらの知見はそれぞれの遺伝子に付与されているIDで対応づけされています。■で構築された新規に特定された遺伝子を含むカイコのmRNA配列情報(アミノ酸配列情報)をショウジョウバエやヒトの遺伝子情報と比較して、対応づけを行い、カイコの遺伝子にショウジョウバエやヒトのデータを関連づけしました(図3)。塩基配列データは基本的に4種類の塩基で構成されており、アミノ酸配列も20種類のアミノ酸配列で構成されているので、異なる生物間でも比較することができます。このようにして、紐づけされた遺伝子の機能に関するデータと■で得られた網羅的な遺伝子発現量データを利用した例を紹介します。網羅的発現量データを利用して、前部絹糸腺で特に強く発現している遺伝子を集めて、その機能をヒトの遺伝子に置き換えることによって、前部絹糸腺ではシルクタンパク質が合成されている時にどのような生命現象が起こっているかを調べることができました。解析の結果、生物のエネルギー源となる炭水化物の代謝に関わる遺伝子が強く働いていることが明らかになりました。得られた結果から、遺伝子組換え技術などによって炭水化物代謝を活性化させることで、シルクの生産性が向上する可能性を明らかにしました。■ 全関連データの公開(誰でも再利用可能に) ■から■で得られたすべてのデータは公共のデータベースに公開されています。この他の解析の際の関連ファイルもすべて公式のデータレポジトリに公開しており、原著論文経由で、誰でも再利用が可能です4)。一方、高度なデータ解析技術を持たなくても、遺伝子発現量データの中の特定の遺伝子の発現量を利用したいという需要はあると思われます。これらの需要に応えるため、農研機構が
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