被害金額■ はじめに鳥獣種別農作物被害金額の推移(農林水産省農村振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課鳥獣対策室(2023)より作成)中型獣3種類(タヌキ、ハクビシン、アライグマ)は、タヌキ以外はH12(2000)年度から集計が開始された。0(億円)25020015010050199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022図1NARO Technical Report /No.15/2024シカカモ類イノシシヒヨドリサルスズメ中型獣3種ムクドリ他獣類他鳥類カラス類26年度YAMAGUCHI Yasuhiro 野生鳥獣による農作物の被害は全国各地で起こっており、農林水産省が取りまとめている2022年度の農作物の被害金額は約156億円、被害量は46万9千t、被害面積は3万4千haとなっています1)。被害を出している鳥獣を種類別に見ると、獣ではシカ、イノシシ、サルが大部分を占め、鳥の中ではカラスが半分を占めています。興味深いことに鳥の被害金額はほぼ一貫して減少傾向にありますが、獣の方は2010年度をピークに減少傾向が続き、2018年以降は下げ止まりとなっているなど、鳥と獣で推移が違うことがわかります(図1)。また、被害作物は野菜、果樹、イネ、飼料作物の順で被害金額が多いですが、その他にもムギ類、マメ類、雑穀、いも類、工芸作物と多岐にわたっています(図2)。 鳥獣害対策の第一歩は農作物を加害している鳥獣種を判別して、その種に合わせた対策をとることです。獣による被害か鳥による被害か、それだけでも対策が大きく変わってきます。獣対策なら電気柵が基本で、平面での侵入対策を考えればよいのですが、翼を持った鳥では上空か特集 アニマルサイエンス ■農作物の食害痕跡から加害鳥獣の判別につなげる鳥獣害痕跡図鑑山口 恭弘
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