農研機構技報No.16
14/52

営農支援の取り組み スマート農業における個別要素技術には、本冊子の特集1(平坦地における省力化と収量・品質改善を実現するスマート農機)や特集2(中山間地域における管理作業の効率化を実現するスマート農機)で紹介している自動走行トラクターや直進アシスト田植機、ドローンなどのスマート農機の他にも、生育予測や栽培支援といった各種の営農支援システムがあり、スマート農業実証プロジェクトでは、これらについても多くの実証がなされてきました。 営農支援システムは、「データを活用する技術」とも言えますが、その内容としては、①ドローンなどを利用したセンシングや収量計測コンバインによるデータの取得、②モデリングによる作業適期や収穫量の予測、③収集したデータをもとにした栽培管理や労務管理の実施、④売上げなどの経営データの集計・解析と出荷計画の策定など多くの取り組みがあります。このうち、本稿では、実証プロジェクトにおいて、栽培支援システムまたは生育予測システムを用い、取得したデータをもとに生育ステージや収穫量を予測するシステムを活用した事例を中心に、その特徴と導入効果を紹介します。 営農支援システムの活用と効果 園芸作の実証においては、表1に示すように、作業時期や収穫量を予測して労務管理に役立てる取り組みと、さらに、適期作業を通じた収穫量や品質向上を図る取り組みがあります。 営農支援システムの活用と効果 水田作のような土地利用型の営農体系では、収穫期を予測することで、コンバインなどの機械とそのオペレーターの配置などの作業計画や、収穫物を受け入れる乾燥■ スマート農業実証での■ 水田作における■ 園芸作におけるNARO Technical Report /No.16/202414OGIWARA Hitoshi 施設園芸や露地野菜生産では、雇用労働力への依存度が高く、そのために作業時期や収穫量を事前に予測して労務計画を立てることが経営の効率化に大きく貢献します。キュウリの事例では、予測した収穫量をもとに労務管理を行うことによって、総作業時間を5%削減可能なことがシミュレーションで示されました。また、大規模なパプリカ栽培の事例においても、労務管理を行える生産管理支援システムと2週間程度先の収穫量を予測するシステムを連携させることによって、収穫量が21%増大している中でも労働時間が5%削減されています。 施設園芸の場合には、労務管理への反映や作業適期の予測にとどまらず、取得したデータの解析結果を統合環境制御プログラムへフィードバックすることにより収穫量や品質の向上を図るという道筋もあります。キュウリの事例では、養液栽培システムの導入、ハウス内環境・給液・排液データの活用、光合成チャンバーデータの活用などを総合した結果ですが、統合環境制御機のプログラムをキュウリ栽培に適した改良を行うこととも合わせて平均単収比で44%向上しました。また、露地野菜や施設園芸などの生鮮野菜の場合には、レタスやブロッコリー(A)の事例のように、2週間程度先の出荷量の予測をあらかじめ市場に提供することによって、価格の安定化を図ることも行われています。特集 スマート農業の普及に向けて 〈個別のスマート農業技術の導入効果〉 ■園芸作と水田作の効率的な作業計画策定を実現する営農支援システム―生育予測と栽培支援システム―荻原 均

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る