0 所得1人当たり所得・千円売上高・万円経常利益1人当たり労働報酬・万円売上高・百万円■ 結果スマート農業実証プロジェクトへの参画に伴う経営収支の変化(法人経営および個人経営)注:4年間の継続データが得られた法人経営17事例、個人経営18事例の経営データに基づき整理。収入は委託費を控除するとともに、経費は、無償で使用できている場合でも、本事業で導入した機械設備については減価償却費を加算した上で経常利益を算出しました。個人の所得についても同様に計算しています。1人当たり労働報酬および所得は、法人は(賃金・給与+役員報酬+利益)、個人は農業所得(専従者給与含む)を、専従換算(常雇および150日以上従事を1、それ未満を0.5として計算)した労働力数で割った金額です。1人当たり労働報酬は、労働力数のデータが得られた2019年以降について示しています。(百万円、万円)460410360310260(万円)3,6002,7001,800900(万円)1,5001,4001,3001,2001,1001,000900800700600500(万円、千円)4,0003,5003,0002,5002,0001,5001,5663501,101310308事業前2018年スマート実証事業参画2019年2020年売上高経常利益4512,8293911,401349315事業後2021年1人当たり労働報酬3,6542,9062,8931,0309727732,1151,723事業前2018年スマート実証事業参画2019年2020年売上高所得1人当たり所得(千円)3,9501,1972,395事業後2021年NARO Technical Report /No.16/2024法人経営個人経営19図1上で算出しました。 1人当たり労働報酬や所得は、一般の労働者の年間給与とも比較できます。また、売上高経常利益率は他の産業とも比較可能な指標であり、これらはスマート農業を導入した農業法人の収益性の水準を評価していく上で有効な指標と言えます。 図1は、実証経営の実証前(2018年)から実証後(2021年)にかけての収支の変化を見たものですが、法人経営では売上高、経常利益、労働報酬のいずれも増加しており、経常利益は、2021年には2,829万円に達しています。売上高が3億4,900万円なので、売上高経常利益率では8.1%になりますが、中小企業実態基本調査(2020年度)における従業員21〜50人規模の製造業の売上高経常利益率は3.3%であり、これに比較すると高い利益率であると言えます。 なお、経常利益の推移をみると、2018年から2019年にかけて減少しています。これは、実証事業への参画に伴うスマート農機への投資が経費(減価償却費)を増加させる一方で、その効果が発現するには時間がかかるという点が影響しています。特に、2019年は、事業初年度という事情からスマート農機がすぐに活用できないケースが生じるとともに、技術の習熟にも時間がかかることから、収入が大きく変わらない中で経費が増加し、利益が低下したと考えられます。 しかし、その後は、売上高が増加し、経常利益は向上しました。そして、1人当たり労働報酬は、2021年には451万円と、賃金構造基本統計調査(2021年度)の一般労働者
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