農研機構技報No.16
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■普及拡大に向けた体制の整備 2020年10月に策定(2022年6月改定)された「スマート農業推進総合パッケージ」を踏まえて、農林水産省と農研機構では、新技術を積極的に取り入れる産地への支援策として、スマート農業実証事業参加者を中心に農業者との連用語解説̶※1 RTK(Real Time Kinematic)補正 移動局と固定局(基地局)とで複数基のGNSS(全球測位衛星システム)からの位置情報を受信し、2つの受信機間で位置情報のズレを補正する技術。単独測位よりも数センチメートル以内の範囲の精度の高い位置情報を得ることができます。者への指導・研修などを通じた人材育成が重要であると認識されており、地域の中核となる生産者への働き掛けが普及促進に寄与するものと考えられます。また、これらの結果は、スマート農業の取り組みを実践できる技術力やノウハウを有する者がいる地域・産地が社会実装に関わることで、スマート農業技術の利用拡大が加速する可能性を示していると言えます。 省力、省人化に資する農機は導入効果を実感しやすいために普及が進みやすい面がありますが、効果的なスマート農機の導入やデータの活用推進といった点についてはまだ課題を残していると思われます。今後は、実証事業で培われた人材・ノウハウを集結し、実証地区とも連携した体系的な人材育成とデータ活用を推進していくことが重要です。携が図られるようスマート農業推進協議会を設立しました(https://www.naro.go.jp/smart-nogyo/suishin-kyogikai/)。この協議会では、1,000名を超える会員からスマート農業技術の導入や活用を支援するスマートサポートチームを募集し、約100団体の登録があり(2024年2月時点)、支援を希望する経営体や産地からの問い合わせに対応しています。また、2022年度からは「スマート農業技術活用産地支援事業」が開始されています。この事業では、スマート農業実証の経験がある者を含めたチームがスマート農業の活用を支援するために産地への実地指導を行います。そして、その結果をもとに、スマート農業技術の利活用や、営農・経営改善の進め方とその効果を体系的に整理して生産者・産地指導に役立つ手引き書を作成します。今後はこの手引き書を活用した社会実装の加速化が期待されます。NARO Technical Report /No.16/202449TOPICSTOPICS

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