テスト運用 ータ収集 デモデルドバック生成AIで農業をスマートに−国内初の農業用生成AIを開発し、 普及指導員への支援を実証開始−石原 潤一ISHIHARA Junichi 開発フィーす2)。したがって、新規就農者の早期育成や高齢の就農者に■新規就農者の早期育成や最新技術の普及が 待ったなし!図1三重県で試行開始チャットツールFarmBoxとの連携生成AIモデルの開発フィードバックによる改良 昨今の不安定な世界情勢の中で、わが国での食料の安定供給を維持していくため、スマート農業を強力に推進させることが求められています。しかし、国内就農者の平均年齢は68.7歳(2023年)1)と高齢であり、今後20年間で現在の3/4ほどの就農者が離農するという予測が立てられていま対する技術支援が必要不可欠となっています。 そこで、農業情報研究センター データ研究推進室は、北海道大学、キーウェアソリューションズ株式会社、三重県農業研究所、株式会社ソフトビル、株式会社ファーム・アライアンス・マネジメントと連携し、国内の農業データを学習させた国産農業用生成AI※1を開発しました(図1)。本生成AIは、地域の特性に応じた農業に関する正確な知識と、スマート農業やみどりの食料システム戦略に関する新技術情報などを学習しており、普及指導員※2が現場の状況に応じて効(図2)。なお、学習に使用されたデータは、農業技術事典国産農業用生成AIの開発生成AIモデルの開発と現地フィードバックによる改良の繰り返し率的かつ適切に対策を判断するための補助的役割を担うことが可能です。 本生成AIは、文章情報に特化した大規模言語モデルをベースとし、国内農業に固有の栽培知識や、地域ごとの土壌や気候条件に応じた栽培方法の違いなどを正しく学習しています。その結果、既存の生成AIが回答しにくい専門的な質問に対し、本生成AIは精度よく回答できるようになりましたNAROPEDIA(https://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/)などのインターネット上で広く公開されている農業情報に留まらず、農研機構に蓄積された研究データをはじめ、地方公共団体の公設試験研究機関などが作成した栽培マニュアル、栽培歴、営農指導記録など、一般的に入手困難な情報を含みます。農研機構は、これらの情報を所有者から許諾を得て■三重県農業研究所の普及指導員に向けて 試験運用を開始1000万トークン80億パラメータAIスパコン紫峰統合データベースの整備従来比4倍の計算性能国産農業用生成AIの開発と全国展開に向けて農研機構のAIスパコン「紫峰」を使用し、農業に特化した正確な記述や数値を学習することで、汎用的な事前学習済みベースモデルの回答精度を向上させられる。NARO Technical Report /No.17/202534基盤技術研究本部 農業情報研究センター データ研究推進室TOPICSTOPICS
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