農研機構技報No.7
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分類対照機基準機固定基準局低価格GNSS受信機機種外観対応測位衛星システム*1使用位置補正情報GRECu-blox ZED-F9PHemisphere A325Trimble SPS855供試したGNSS装置表1*1:対応衛星システムでG:GPS、R:GLONASS、E:GALILEO、C:BEIDOU、J:QZSSを指す。 *2:研究開発用途に物品として購入した時点の価格であり、農用車両など製品への組込時の価格ではない。注:短基線測位では、農業技術革新工学研究センターつくば拠点に固定基準局(受信機Trimble社製SPS855、アンテナTrimble社製Zephyr2、経度36.0244080、緯度140.0988865)を設置。長基線測位では国土地理院の電子基準点(つくば3、経度36.1036352、緯度140.0863152)の生成する位置補正情報をNTTドコモの“docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス”を介して取得しRTK測位を実施。Hemisphere Eclipse P326 + ユニバーサル開発キットGRGRECJGREC最大出力周期20Hz50Hz-50Hz使用通信プロトコルNMEA0183 UBX binaryNMEA0183RTCM3.0、RTCM3.2NMEA0183RTCM3.2RTCM3.0-RTCM3.2構成価格*2約7万円約72万円約179万円約67万円接続アンテナZHEJIANG JC Antenna JCA228 (50.5/46.5mm)アンテナ受信機一体型(132.2mm)Trimble Zephyr model 2(46.0mm)Hemisphere A52(54.9mm)静的評価での測位精度表2GNSS装置基線長測位精度RMSE(m)RTK-Fix率(%)東西南北高さ低価格GNSS対照機基準機1m9km1m9km1m9km99.999.9100.0100.099.9100.00.0080.0080.0080.0110.0020.0050.0060.0130.0120.0200.0030.0050.0220.0640.0340.0710.0070.013低価格GNSSの短基線と長基線の測位結果図1南北 (cm)-5-4-3-2-1054321東西 (cm)-5-4-101-3-22345-5-4-3-2-1054321-5-4-101-3-22345静的評価・短基線静的評価・長基線 測位精度と測位の安定性については、GNSS受信機からの出力データ(時刻、位置、その他の測位情報を含む)から緯度・経度やアンテナの標高、ジオイド高などを抜き出し、基準機によるRTK測位結果を基準として、アンテナ取り付け位置のENU座標※3上の誤差(RMSE: Root Mean Square Error)を求めました。また、測位の安定性の指標としてRTK-Fix率(全測位回数に対するFix解※4が得られた測位回数の割合)を求めました。 基線測位における低価格GNSSの測位結果(表2)および分布図(図1)を示します。短基線測位においては、低価格GNSSの水平誤差(RMSE)は0.6~0.8cm、高さ誤差は2.2cmとなり、対照機の水平誤差0.8~1.2cmと高さ誤差3.4cmと比べても同程度以上の測位精度が得られました。長基線測位においては、低価格GNSSは水平誤差が0.8~1.3cm、高さ誤差が6.4cm、対照機は水平誤差が1.1~2.0cmと高さ誤差7.1cmとなりました。基線長が長い場合の高さ誤差がやや大きい結果となりましたが、長基線測位においても自動化農機の制御などに十分な精度が得られることがわかりました。RTK-Fix率は、長基線、短基線ともに99.9%となり実用上問題の無い安定した測位が行えることがわかりました。31NARO Technical Report /No.7/2020

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