「サラホワイト」の特性図3加工後1年間冷凍保存した大根おろし図4「サラホワイト」を使用したロングライフチルドサラダの調理例図5品種グルコシノレート含量(μmol/g 乾物重)乾物率(%)グルコエルシングルコラファサチンサラホワイト耐病総太り14.3検出限界以下検出限界以下26.75.94.7「サラホワイト」のグルコシノレート含量と乾物率表2野菜花き研究部門での栽培データ(2013と2014年度の平均)01020304050706080サラホワイト青首大根メタンチオール換算値(ppm)加工3カ月後の切干し大根から発生するにおいサラホワイト青首大根「サラホワイト」の草姿1.868.8に変色します。これに対して「サラホワイト」で作った大根おろしは、1年間保存しても加工時の白さを保っていました(図4)。また、切干し大根を水で戻した際に発生するにおい成分(メタンチオール)の量を測定したところ、「サラホワイト」から発生するにおいは一般的なダイコンの約2.5%にまで減少することがわかりました(図3)。においの発生のため、これまでにダイコンでは利用が進んでいなかったロングライフチルドサラダ※5に加工したところ(図5)、評価者全員が一般的な青首品種を使ったサラダに比べて、たくあん臭が感じられないと回答しました。また、青首品種のサラダよりも歯ごたえが良いためフレッシュ感があり官能評価でも好まれる傾向にありました7)。 「サラホワイト」の品種名は、加工品が黄変せずに白さが保たれることから、「完全な(thorough)」と「白(white)」を表すとともに、「高貴な女性」を意味する「サラ」を当て命名しました。「サラホワイト」はその乾物率の高さを活かした加工原料としての利用が期待されています。シノレート分析を各世代で行う必要がありました。しかし、DNAマーカーを利用することで簡便な操作でグルコシノレート組成を推定することができます。これにより、グルコラファサチン欠失性個体の選抜に要する労力や時間を削減し、従来の約2倍のスピードで「サラホワイト」と「令白」を育成することができました5)。■ 加工時の歩留まりが高い「サラホワイト」 「サラホワイト」は、関東以西の秋まき冬どり栽培や、冷涼地の夏まき初秋どり栽培に適した白首品種※2です6)(図3)。一般的な加工用青首品種に比べて肉質が硬く乾物率が約1ポイント高いため、大根おろしや切干し大根に加工した際の加工歩留まりに優れます(表2)。 一般的な青首品種で作った大根おろしは、数カ月冷凍保存すると徐々にグルコラファサチンに起因する黄色の色素が発生し、1年間保存した大根おろしは強い黄色8NARO Technical Report /No.7/2020ダイコン新品種の育成
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