「旬」の話題

6月から食べられる「もも」のお話

763747.jpg「もも」はバラ科サクラ属モモ亜属に分類されます。

一般的に「もも」の旬は夏といわれていますが、現在では品種改良が進み、早いものは6月から収穫できるものもあります。農研機構でも果樹研究所が育成した「ひめこなつ」は5月下旬から6月始め梅雨に入る前に収穫ができる品種です。

今回は、これから夏にかけて楽しむことが出来る「もも」について調べていきたいと思います。

原産

5308407.jpg 中国原産。日本へは弥生時代に伝わってきたとされ、平安時代には食生活に重要な食べ物の一つとして数えられています。しかし、当時は果実が小さく、甘みに乏しく、果肉は固く、果汁が少ないものしかありませんでした。

1875年(明治8)に中国からシャンハイスイミツトウとテンシンスイミツトウが導入されたのをきっかけに、現在日本で食べられている甘くてみずみずしい美味しい「もも」への品種改良が進んだといわれています。

 

「もも」の代表的な品種

「もも」の品種は大きく分けると、白鳳、白桃の2つの系統があるとされます。
白鳳は、果肉が白くやわらかな口当たりで、上品な甘さをもち、酸味が少なく多汁です。
白桃は、果皮と果肉がオフホワイトで、収穫までの日数が長いので肉質がしっかりとしているのですが、完熟した果肉は柔らかく、甘く水分も多いのが特徴です。

「もも」の栽培地域

3599012.jpg「もも」は全国で栽培面積1.1万ha 生産量は17万t前後になります。

雨が少なく、風が強く当らない盆地が、良質の桃をつくる最適の環境とされています。

主な産地としては、山梨県、福島県、長野県、山形県、岡山県ですが、なかでも山梨県では約6割の出荷量を占めています。

出荷時期は、4月~5月にかけて山梨が始まり、6月に和歌山、7月に福島、8月には長野、山形もピークを迎えます。

周年を通し、山梨産が一番の出荷量を保っています。

「もも」の旬

桜とほぼ同じ時期に開花し、初夏から初秋にかけて収穫されます。

一つの木から収穫できる期間は10日間程度と短いのですが、収穫時期の違う品種を多数栽培することで、6月から8月にかけて長く「もも」を楽しむことができます。

出荷量1位の山梨県では下のように4種類以上の品種を栽培し、8月いっぱいまで美味しい桃を味わうことができます。

山梨の品種別出荷リレー
早晩性 出荷時期 主な品種
極早生 6月下旬 ちよひめ
早生 7月中旬頃 日川白鳳
中生 7月中旬~下旬頃 白鳳
晩生 8月上旬~中旬頃 川中島白桃

※早晩性とは、熟すまでの栽培期間の長さを表します。
「もも」の場合は、花の満開期から収穫までの日数(成熟日数)が、70日から150日の範囲にありますが、便宜的に次のような熟期に分けています。

  • 極早生(70日以前)
  • 早生(100日まで)
  • 中生(101日~130日)
  • 晩生(130日以上)

美味しい「もも」の見分け方

1158247.jpg手に取ったときに、ずしりとした重量感があり、全体がまんべんなく赤く、表面全体に毛があり、甘い香りがするものが良いとされます。 完熟すると匂いも強くなるので、香りで食べ頃が見分けられます。
また、ももは変色しやすい果物ですので、皮をむくのは食べる直前がよいでしょう。

 

 

 

 

美味しい「もも」の食べ方

<4310013.jpg 冷やしすぎると甘さがぼけてしまいます。通常は冷暗所(日陰など)に保管し、食べる1~3時間ほど前に冷蔵庫で冷やすと、より美味しくいただけます。冷蔵庫に入れるときに、ももの水分が失われないようにビニール袋にいれるかラップをかけるとよいでしょう。

 

 

 

 

「もも」の保存方法

未熟でかたいときは、追熟させるために紙に包み風通りの良いところで常温保存しておき、軽く指を当てて、やわらかみを感じれば食べ頃になります。
熟した「もも」の場合は傷みやすいので、早く食べきりましょう。ももは指で強く押さえたり、上に物を重ねたりすると、すぐに傷がついてしまうので、ていねいに取り扱うことが大切です。

「もも」の機能性

「もも」の果実は主に
水分が89.3%、糖質が9.2%、その他成分1.5%

主な栄養成分(可食部100g中)として
食物繊維(約1.3g)、カリウム(約180mg)、ナイアシン(約0.6mg)
などが含まれています。

このなかでも、「もも」の食物繊維には

  • コレステロールの上昇を抑える働きがあるといわれている水溶性ペクチン
  • 整腸作用により便通を整えたり、大腸ガンの予防に有効的な不溶性ペクチン

の両方が含まれています。便秘は肌荒れやストレスにもつながるので、美容効果としてもよいのではないでしょうか。

カリウムは体内のナトリウム(塩分)を排出する効果があり、血圧を下げる作用があるので高血圧予防としても有効です。

また、桃の葉には、鎮静効果や、あせもや湿疹、かぶれ、虫刺されに効果があるといわれており、昔から桃の葉を入れたお風呂を「桃湯」と呼び、夏の暑い時期にあせもや湿疹への効果をねらって「桃湯」に入る週間があったようです。

農研機構の最新「もも」品種

黄肉モモ新品種「ひめこなつ」

himekonatu_zu2.jpg開花から収穫までの日数が60日前後と、従来の早生品種に較べて10日以上も短い期間で収穫ができます。
開花が3月中となる西南暖地などの早生もも栽培地域では、5月下旬から6月始めに収穫することが可能となり、梅雨による品質低下を回避でき、品質の安定した果実を得ることができます。

  • 外観の特徴
    果形は扁円形、果皮の地色は黄色で、
  • 果面全体に縞状に紅色の着色が覆い、外観は良好です。
    果実重は平均で120g前後と小ぶりです。
  • 栽培の特徴
    果面の裂果はなく無袋栽培ができます。
  • 食味の特徴
    果肉は溶質で肉質は中、果汁は多く、核は小さい。糖度は12%を超え、同じ極早生品種の「ちよひめ」及び「ちよまる」より多く、酸味は少なく、渋味の発生も少ないため、食味は極早生としては良好です。