農業者大学校に関する情報・手続き

農業者大学校が取り組んだ教育について

つくばの農業者大学校では、募集対象者を四年制大学卒業程度の理解力のある者とし、従来の「青年である農業者」に限らず、「農業及び農村の担い手として意欲のある若者」に広げたことにより、非農家出身者や他産業経験者等、経歴・年齢・出身地等多種多様な学生が集まりました。

そこで、自立する農業経営者を育てることを目標に、農研機構の内部組織となったことを活かして、先端的な農業技術・先進的な経営管理手法の教授を行うとともに、考える力、経営力、問題解決力等を養うことに重点が置かれました。また、学生の多様性を活かして互いに切磋琢磨させる教育を進めました。これらの教育と一体的に、卒業後の就農に向けての指導・支援を行いました。

教育の内容

農業経営者を育てるための教育プログラムの全体像は以下のとおりです。

農業経営者教育プログラムの全体像

1.講義

大学教授、先進的な農業者、第一線の研究者、各回のトップリーダー等を講師に迎え、農業経営者となるのに必要な8分野89科目の講義を開講しました。学生は自らの経歴や将来目指す農業経営を勘案して、2年間の学習計画を立て、それぞれに合致したオーダーメイド教育を受けることができました。

講義風景研究チーム派遣実習の様子

2.実習

1年次には、先進的経営に取り組む全国の農家・農業法人等に4ヶ月間学生を派遣する「先進経営体等派遣実習」を実施しました。農業現場での実習を通じ、生きた農業技術・農業経営を学び、先進的な農業者から価値観、経営感覚、リーダーシップ、地域づくりなどを学び取りました。

2年次には、農研機構の各研究所の研究チームに週2回学生を派遣する「研究チーム派遣実習」を実施しました。第一線の研究者の指導を得て、先端的な農業技術や研究現場における科学的なものの見方・考え方の修得と、研究者との人脈づくりが図られました。

3.演習

演習は、少人数のゼミ形式での切磋琢磨やワークショップ等の手法を基本とし、就農後必要となる経営感覚の修得を図りました。2年次の「地域総合課題演習」では、地域リーダーに求められるマネジメント手法の修得を図るとともに、地域活性化についての現地調査とグループワークを実施しました。また、「卒業論文演習」では、2年間の学習の成果を基に、学生各自が追求する農業の将来像に関連づけ、農業経営や農業・農村に関する諸問題等の中からテーマを設定し、独自に調査・分析を実施しながら卒業論文の作成を行いました。

就農支援

つくばでの新しい教育課程には、従来多摩校で多くを占めていた農業後継者のほかに、都会育ちの非農家出身の学生も多く入学していることから、非農家で自ら農業経営を開始しようとする学生及び農業法人等に就職就農しようとする学生を、卒業後に確実に就農できるように、図に示す五つの取り組みを重点的に行いました。さらに、自営就農を目指す学生に対し、認定就農者の申請、就農支援事業の申請、農地の取得等の支援を行いました。

また、職員が就農した卒業生を個別に訪問し、就農の実態を調査するとともに、本校の就農支援や定着支援活動に対する意見等を聴取しました。

就農支援の取組の5本柱

取組の成果

1.入学者の状況

入学者数は、平成20年度以降3ヶ年とも定員40名のところ31名(充足率77.5%)となりました。
一方で、道府県農業大学校卒業生、多岐にわたる学部の四年制大学卒業生、社会人経験者など新しい教育課程のねらいとした多様な意欲ある入学者を確保することができました。

出身学校別入学者割合

年齢別入学者割合

2.教育への満足度

毎年度在学中の学生を対象に「授業満足度アンケート」を実施したところ、いずれも80%以上の満足度となりました。さらに、卒業生に対して在学時の教育内容に対する満足度を聞いたところ、80%以上の卒業生が「満足」または「平均以上」との評価となりました。

平成21年度卒業生の教育に対する評価、平成22年度卒業生の教育に対する評価

3.卒業生の進路

きめ細かな就農支援の結果、卒業生の就農率(卒業時点)は毎年度90%を超え、3期計でも94%という高い成果をあげました。

これは、入学する学生が高い就農意欲を持っていたことに加え、本校の就農を支援するための教育プログラムの追求と就農支援のノウハウの確立が大きな要因であったものです。

卒業時点の進路状況