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高齢者・女性も扱いやすい農業機械の検討

低振動型刈払機

高齢者・女性も扱いやすい農業機械の検討
【背景・経緯】
 農業就業人口の約6割が65歳以上の高齢者であり、また、女性が農業就業人口の約5割を占めています(図1)。一般的に高齢者・女性は成人男性よりも体格、筋力等の身体能力が低いと言えます。そうした方々にも使われる農業機械の安全性、取扱性について、革新工学センターの安全鑑定基準(以下、安鑑基準)においても、より一層高齢者・女性を考慮したものとしていく必要があります。
 そこで、現状の農業機械と、運転操作に関係する高齢者・女性の身体能力を調査、比較することで、ミスマッチな部分を明らかにして、安鑑基準の見直しや農業機械の設計時の資料とすることを目指しました。

【研究結果の概要】
 調査・検討結果のうち「ペダルの操作力」「座席調節範囲」について以下に示します。
 農業機械については、乗用トラクター56型式、自脱コンバイン10型式、田植機11型式、スピードスプレヤー6型式を調査しました。農業者の身体能力については、128名(65歳以上男性31名、女性38名)の被験者にご協力いただきました。
 「ペダル操作力」についての結果を図2に示します。安鑑では、操作に要する力の上限値の目安(490N≒50kgf)を定めていますが、今回の調査では女性の操作力が小さく、その中央値(女性被験者の半分が操作できる値)は上限値の目安を大きく下回って235Nでした。調査した機械の約9割が235Nを下回っていましたが、コンバイン3型式、田植機1型式では、女性被験者の1/4にしか操作できないほど操作力が大きいことが分かりました。したがって、今後は上限値の目安を小さくし、機械の改善を促すことが必要と考えられました。
 「座席調節範囲」についての結果を図3に示します。座席とペダルの相対位置を見ると、コンバインでは他機種よりも前後方向の距離が小さく、上下方向の距離が大きい結果となりました。これは、コンバインでは、刈取り状況を確認しながらの作業となるため、座面高さが他機種と比較して高いことが原因と考えられました。過去の研究結果を基に、身長150cmの女性による操作を考えた場合、全ての機種でペダルが推奨範囲外に位置しており、容易に操作できるとはいえませんでした。したがって、コンバインでは上下方向の距離を縮小、それ以外の機種では前後方向の調節範囲を拡大する必要がありました。しかし、コンバインでは、単純に座面を下げると作業性に問題が生じるため、作業性を保つ対策を検討する必要があります。
 他にも、「最下段ステップと手すり」「表示の大きさ・見やすさ」についても課題が明らかになり、今後の検討の必要が確認されました。
(特別研究チーム(安全) 土師健)




図1 農業就業人口割合




図2 ペダル操作力




図3 座席を最前・最低にした時のペダル位置

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