加熱絞り法による大豆の豆腐加工適性(豆腐硬さ、豆乳粘度)評価法
[要約]
スチームレンジによる加熱絞り法を用いて豆乳を調製し、豆腐加工適性(豆腐硬さ、豆乳粘度)を評価できる。当評価法の測定値の繰り返し精度は高く、豆腐の硬さ(破断応力)および豆乳粘度の評価結果は、実需評価とほぼ一致する。
[キーワード]
豆腐加工適性、破断応力、豆乳粘度、加熱絞り、スチームレンジ、実需評価
[担当]道立中央農試・基盤研究部・農産品質科、作物研究部・畑作科、道立十勝農試・作物研究部・大豆科
[代表連絡先]電話0123-89-2585
[区分]北海道農業・畑作
[分類]研究・参考
[背景・ねらい]
生絞り法による豆腐加工適性(硬さ)の評価法(平成17年北海道研究参考)の開発により、豆腐の硬さに優れた大豆系統の選抜が可能となった。加工適性のさらなる向上には、実需者が用いる加熱絞り法で問題となる豆乳粘度の評価法開発が必要である。本課題では、加熱絞り法を用いて、豆腐の硬さと豆乳粘度を一連の操作で評価する方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 大豆を20℃で18時間浸漬し、加水倍率7.25倍(乾物重換算)で調製した呉を、スチームレンジ400Wで5分30秒(3分+2分30秒)加熱した後、電子レンジ200Wで3分加熱して豆乳を調製する(図1)。
- 沸騰までの加熱にスチームレンジを用いた本評価法は、呉の焦げ付きがなく、連続したかき混ぜ操作が不要で、沸騰までの加熱速度が中程度である。そのため、他の加熱絞り法に比べ、品種間での豆乳粘度の差が明確になり、繰り返し精度も高い(図2)
- 当評価法による豆腐破断応力の繰り返し精度(変動係数:フクユタカ4.4%、トヨコマチ4.6%)は生絞り法(同:フクユタカ3.8%、トヨコマチ7.4%)と同程度であり、測定値の相関も高い(相関係数r=0.93***)。
- 当評価法により作製した豆腐と実需者の作製した豆腐は、破断応力のサンプル間の序列がほぼ一致する(図3)。また、当評価法で豆乳粘度が高い(約60mPa・s以上)系統は、実需者による作業性の評価が劣る(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 中後期世代(生産力検定予備試験以降;F6〜F7以降)の大豆育成系統の豆腐加工適性評価に活用できる。
- 当評価法は、操作が比較的簡便で、作業者2名で1日10点の豆腐加工適性評価が可能である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「加熱絞り法による大豆の豆腐加工適性(豆腐硬さ、豆乳粘度)評価法」(研究参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:道産大豆の競争力アップを目指した豆腐好適品種の開発促進
予算区分:道費
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:小谷野茂和、萩原誠司、大西志全、小宮山誠一、奥村理
目次へ戻る