メロンの生理障害(水やけ症状、マンガン過剰症、発酵果)の対策技術
[要約]
圃場の排水不良に起因する水やけ症状(葉身の黄化や縁枯れ、生育不良)およびマンガン過剰症は高畝処理や広幅型心土破砕の施工により軽減される。また、着果以降のカルシウム剤水溶液の灌水処理により発酵果の発生を軽減できる。
[キーワード]
水やけ症状、マンガン過剰症、発酵果、高畝、広幅型心土破砕、カルシウム
[担当]道原環セ・農業研究科
[代表連絡先]電話0135-74-3131
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
近年、メロンの生産現場では生理障害が発生し、生育や収量の悪化が懸念されている。圃場の排水不良に起因する水やけ症状およびマンガン過剰症について、現地発生圃場で高畝処理や広幅型心土破砕の施工による軽減対策を検討する。また、体内のカルシウム不足が一要因とされる発酵果の発生に対して、ロックウールを用いたモデル的な養液栽培試験および圃場試験でカルシウム剤の葉面散布や根系からの供給(養液供給、灌水処理)による軽減効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 水やけ症状の発生圃場では定植前の高畝処理および広幅型心土破砕の施工により、水やけ症状に伴う葉身の黄化程度は改善し、茎葉重および平均1果重は増加する(表1)。
- マンガン過剰症の発生圃場では、定植前の高畝処理と広幅型心土破砕の施工により、葉身のマンガン含有率の低下およびマンガン過剰症状の緩和とともに、茎葉重の増加が認められる(表2)。
- 養液栽培条件では、着果以降に養液の塩化カルシウム濃度を高める処理や酢酸カルシウム、ぎ酸カルシウム肥料の利用、またこれらのカルシウム剤水溶液の葉面散布により、発酵果発生の軽減効果が認められる(表3)。
- 圃場条件では、発酵果発生に対するカルシウム剤水溶液の葉面散布効果は判然としないが、着果以降のカルシウム剤の灌水処理により、発酵果発生の軽減効果が認められる(表4)。なお、灌水処理で使用するカルシウム剤は、電気伝導度が低く濃度障害を生じにくい、酢酸カルシウムおよびぎ酸カルシウム肥料の2種類とする。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績はメロンの生理障害(水やけ症状、マンガン過剰症、発酵果)の対策技術として活用できる。
- 本成績は水やけ症状とマンガン過剰症の対策試験は品種「ルピアレッド」および「G-08」、発酵果の対策試験では品種「レッド113」を用いたトンネル栽培で得られた成果である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「メロンの生理障害(水やけ症状、マンガン過剰症、発酵果)の対策技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:メロンの栄養障害対策技術の確立
予算区分:道費(重点領域)
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:大橋優二、奥村 理、小宮山誠一
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