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プロジェクトの成果
Ⅰ-地域農業機械化支援タイプ8
二毛作地乾田直播での漏水防止工程を高速化する 高速作業用振動ローラ
研究開発プロジェクト担当

農研機構 農業機械研究部門、九州沖縄農業研究センター、 川辺農研産業株式会社
二毛作地域での乾田直播成功のカギを握る漏水対策を30%以上高速化したことで、播種との並行作業が可能になりました。
開発レポート
開発の背景・成果

 水稲の乾田直播栽培は、畑状態に播種する栽培技術で、苗作り及び代かきを省ける省力化技術であるとともに、イネ4葉以降に入水することでスクミリンゴガイによる食害を回避できます。

 ただし、代かきには漏水抑制効果があるので、ムギやダイズ作などで排水対策に努めたほ場では、これに代わる漏水対策がないと水が溜まりません。

 二毛作地域では冬作(ムギ類)収穫から夏作(水稲)開始までの切替期間が短いため、短期間でできる漏水対策が必要です。川辺農研産業株式会社製の園芸用として開発された振動ローラによる鎮圧を行う漏水対策が考案されましたが、取り組み面積を増やしていくと、耕うん・播種工程に比べて漏水対策作業の遅れが目立ち、より作業を高速化できるローラの開発が求められていました。

 そこで、農業機械技術クラスター事業において、この要望に対応できる機械の開発に取り組んだ結果、共同研究企業からの市販化に至りました。

ムギ作から水稲作への切替時期の移植と乾田直播の作業工程
播種と従来市販機での鎮圧の組み作業の様子
開発機の概要

 開発した高速作業用振動ローラは、ローラ部、起振部、フレーム部からなります。50PS(37kW)以上のトラクタの3点リンクに直装し、起振部の上面が水平になるようにセットして作業します。ローラ幅は180cm、質量が約510kgです。

 また、軸受け、スクレーパ等は、土地利用型の栽培に合わせて、広い面積で作業し続けるための耐久性改善を行いました。なお、既に市販化されていた120cm幅、150cm幅のローラ軸にも同様の改良が行われました。

開発機の外観
既存市販機の土地利用型改良 川辺農研産業株式会社HPより (SV3-T1500)
開発機の性能・評価

 速度上限を3.5km/h、PTO回転数1,000rpm以上とした場合に、乾田直播技術構築に用いた従来機(幅120cm)と同等の効果を得られ、作業能率は従来機29分/10aに対して、20分/10a以下と30%以上高速化しました。100PS(74kW)クラスのトラクタの車輪幅(内側)も隙間なく鎮圧できます。

 一日の作業時間を6時間とすると、10haは、従来機では約8日、本開発機では4日弱(大区画ほ場)~5日(50a程度のほ場)で完了できます。

 振動ローラ式乾田直播では、漏水抑制効果を得られる土壌水分条件での鎮圧実施が重要です。播種作業直後は比較的水分条件が良好なため、ローラ鎮圧作業の組み作業を推奨しています。従来機では鎮圧作業の遅れが指摘されていましたが、当該ローラの開発により、播種との並行作業が可能になりました。

※ 漏水防止工程では、表面の土壌を手で握って固まる程度の土壌水分であるこがとポイントになります。

現地では、大型トラクタの導入が進んでおり、これらにも対応できます。

耐久試験の様子
従来機と開発機の比較試験
市販化

 令和4年11月28日に川辺農研産業株式会社より受注生産としてセールス店等への案内が開始されました。

詳細情報