馬鼻肺炎ストレスも発症の一因

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届出
伝染病

特徴

馬鼻肺炎馬鼻肺炎は、馬ヘルペスウイルス1型および4型の感染によって起こる疾病の総称で、馬の届出伝染病に指定されている。

主な症候は呼吸器疾患、神経疾患、および流産で、呼吸器疾患では発熱、鼻汁漏出、下顎リンパ節の腫大が、神経疾患では歩様異常、起立不能などが見られる。流産は妊娠9か月以降の妊娠後期に突発的に生じることが特徴である。この流産は毎年冬季に馬産地で発生しており重要視される。

感染経路は飛沫感染と、人や器具を介した接触感染である。感染しても症状が現れない場合も多いとされるが、一度感染した馬は終生ウイルスを体内に保有し、ストレスなどが原因で再発やウイルスの再排出をして感染源となる。また、流産症例では流産胎子、胎盤、および羊水に大量のウイルスを含むため、感染源として注意が必要である。


対策

現在のところ、治療法はない。予防には不活化ワクチン(流産および呼吸器疾病の予防)および生ワクチン(1型ウイルスによる呼吸器疾病の症状低減)が販売されている。

農場内への侵入防止および感染拡大防止のためには、導入馬や感染馬の隔離、感染馬に使用した器具および接触した作業員の手指、手袋、衣服の消毒を行う。流産が発生した場合には、流産胎子、胎盤、羊水、またそれらに汚染された敷料、器具に他の馬が接触しないように注意し、迅速に消毒、処理することが大切である。

妊娠馬は他の馬との接触を避け、ストレスを与えないよう飼育管理に気を配ることも重要である。

[写真:野外発生例の流産胎児 出典:NIAH病理アトラス]

(動物衛生研究部門 須田遊人)

参考情報

・家畜の監視伝染病 馬鼻肺炎


情報公開日:2016年11月9日

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