馬伝染性子宮炎保菌馬にも注意が必要

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届出
伝染病

特徴

馬伝染性子宮炎馬伝染性子宮炎は、テイロレラ属の細菌感染によって起こるウマ科動物に特有の性感染症で、届出伝染病に指定されている。1977年にイギリスで大発生し、その後わが国を含む世界中の主要な馬産国で発生が確認された。適切な防疫対策が取られた結果、わが国では2005年6月以降発症は確認されていないが、海外では散発的な発生、地域的な流行が続いている。

本菌の感染部位は生殖器に限局され、発熱などの全身症状は示さない。感染した雌馬は子宮内膜炎や頸管炎を発症して滲出液を流出し、繁殖雌馬では受胎率が低下する。また感染後に保菌馬となることが多い。保菌馬が感染源となり、交配又は人や器具を介して伝播する。感染した雌馬と交配した雄馬は高い確率で保菌馬となり、長期間にわたり生殖器に保菌する。


対策

本病はワクチンによる予防はできない。そのため、感染馬および保菌馬を交配に供さないことが最も効果的な予防策である。本菌に感染した雌馬は、子宮洗浄と子宮内への抗菌薬の投与および生殖器の除菌を行い、菌の再付着を防ぐことが重要である。雄馬に対しても同様に生殖器の除菌を行い、菌の再付着を防ぐ。本病は国内での清浄化が達成されており、国外からの侵入防止と、再侵入時の拡散防止を目的とした対策がとられている。

[写真:雌馬の外陰部から流出する滲出液 (JRA競走馬総合研究所提供)]

(動物衛生研究部門 渡部綾子)

参考情報

・家畜の監視伝染病 馬伝染性子宮炎


情報公開日:2016年12月14日

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