伝染性無乳症発症家畜は早期淘汰

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届出
伝染病

めん羊、山羊

特徴

伝染性無乳症伝染性無乳症はめん羊および山羊の感染症で、届出伝染病に指定されている。原因となる病原体はマイコプラズマのうち、M. agalactiaeM. mycoides subsp. capri(Mmc),M. capricolum subsp. capricolum および M. putrefaciens の4 菌種で、伝染力が強く世界各地で発生が報告されている。日本では平成3年に初めて沖縄で発生が確認され、以降沖縄県では10日齢~3カ月齢の子山羊でMmcを原因菌とした発生が散発的に見られる。

症状は菌種によって異なり、泌乳量の低下および停止といった牛の乳房炎に類似した乳房での局所症状の他、肺炎、関節炎および角結膜炎などの併発がみられる。これらの症状は必ずしも同時に見られるわけではなく、子山羊においては関節炎や肺炎が主徴となる。また、時として敗血症に至り死亡する例や、妊娠時に感染すると流産や下痢を起こす例もある。


対策

国内で認可されているワクチンはない。治療法としてはテトラサイクリン系、マクロライド系などの抗生物質の投与が有効であるが、早期診断が難しいため、治療効果のある抗菌薬の投与が遅れる例がある。

病原体を含む汚染乳汁、エアロゾルの摂取や吸入、接触により伝播し、母畜から胎児への垂直感染も見られる。症状が無くなってからも感染源となる可能性があることから、発症家畜の早期淘汰が蔓延防止策となる。

[写真:肺:Mmcによる発症山羊で見られた肺炎の組織像]

(動物衛生研究部門 長澤裕哉)

参考情報

・家畜の監視伝染病 伝染性無乳症


情報公開日:2017年5月10日

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