リードカナリーグラスの病害


麦角病(bakkaku-byo) Ergot
病原菌:Claviceps purpurea (Fries) Tulasne、子のう菌
 穂に麦角(菌核)を形成し、これが家畜毒性を持つ。開花直後から穂にあめ色の蜜滴を形成し始め、蜜滴内に含まれる多量の胞子が風雨で飛散して伝播する。感染した穂には種子のかわりに表面白色、その下は黒紫色、牛の角状で、長さ2~18mm、幅0.6~2.4mmの麦角を形成する。麦角は地上に落ち、翌年に発芽して伝染源となる。病原菌は寄主範囲が広く、オーチャードグラス、チモシー、フェスクなどにも感染する。麦角中のアルカロイドはエルゴバリンなど毒性の強いものであり、家畜の流産などを引き起こす。病原菌はvar. phalaridisに分類される。


葉枯菌核病(hagare-kinkaku-byo) Leaf rot
病原菌:Sclerotium rhizoides Auerswald、不完全菌
 1970年代に北海道で発生が報告されていたが、2010年6月、北海道幕別町で再度発生が確認された。病徴は葉の先端が白く枯れ、葉身全体が展開できずに巻くように枯れ上がる。病斑は楕円形から不定形で、周縁部は赤褐色、中心部は白色となり、表面には灰色、球形~亜球形、表面平滑、直径1-3 mmの菌核を形成する。


葉腐病(hagusare-byo) Summer blight
病原菌:Rhizoctonia solani Kühn、担子菌
 全国で発生し、草地の夏枯の一因となる重要な糸状菌病。初め灰緑色、水浸状に葉が変色し、やがてゆでたように軟化していく。さらに病気が進むと、茎や葉が倒れて重なって腐り、これをつづり合わせるようにしてくもの巣状の菌糸が見られる。罹病植物上には、明褐色~褐色、直径5mm程度の菌核が形成される。この時点で草地はつぼ状に枯れ、徐々に裸地化が進む。病原菌はほとんどのイネ科及びマメ科牧草を侵すきわめて多犯性の菌である。


いもち病(imochi-byo) Blast
病原菌:Pyricularia grisea (Cooke) Saccardo
 暖地で発生が多い斑点性の糸状菌病。病斑は短い紡錘形で、灰白色、周縁部は褐色となることが多い。大きさは長さ2-5mm程度であるが、激発すると病斑が融合し、葉全体を枯らす。病原菌はイネいもち病菌と同種であるが、寄生性については不明である。


冠さび病(kansabi-byo) Crown rust
病原菌:Puccinia coronata Corda var. coronata、担子菌
 被害の大きい重要病害。関東以南の比較的温暖な地域での発生が多い。初め黄色の腫れ物状の病斑であるが、やがて長さ1~2mm、幅0.5mm程度の楕円形病斑となり、表皮が破れて中から黄色~オレンジ色の夏胞子が現れる。激発すると、葉身全体が黄色い粉を吹いたように見え、やがて枯死する。黒褐色の冬胞子堆も形成するが、越冬・越夏には夏胞子が重要な役割を果たすと考えられている。病原菌はフェスク、ライグラス菌と同種である。日本ではオオバナノエンレイソウが中間宿主である可能性がある。


褐斑病(kappan-byo) Buff spot
病原菌:Stagonospora foliicola (Bresadola) Bubak、不完全菌
 葉枯を引き起こす糸状菌病。病斑は葉および葉鞘に形成され、初め褐色から黄白色の楕円形斑だが、次第に広がり、黄褐色で周縁部が不明瞭な斑点になる。病斑は多数形成され、相互に融合し、葉全体が黄褐色に枯れる。夏の終わりから秋にかけて最もまん延する。


雲形病(kumogata-byo) Scald
病原菌:Rhynchosporium secalis (Oudemans) Davis f.sp. phalaridis Iwata et Kajiwara、不完全菌
 全国的に発生する重要な斑点性の糸状菌病。関東地方では春と秋に発生するが、北海道では年間を通して発生する。初め水浸状の小さな病斑であるが、やがて内部は淡橙色~灰白色、周縁部は褐色で、長紡錘形~レンズ形、長さ1-3cm、幅2-5mmの特徴的な病斑を形成する。病斑は徐々に融合し、『雲形』になっていく。葉は病斑部から裂けることが多く、すだれ状になることもある。冷涼多湿条件で多発する。病原菌は麦類の雲形病菌と同種だが、寄生性が異なる。


雪腐褐色小粒菌核病(yukigusare-kasshoku-syouryuu-kinkaku-byo) Typhula snow blight
病原菌:Typhula incarnata Lasch:Fries、担子菌
 株枯れを引き起こし、主に北海道で発生する重要病害。病徴は黒色小粒菌核病と類似するが、枯死部表面に形成される菌核が粟粒大、赤褐色である点が異なる。菌核は枯死植物の茎、葉、根などに形成される。病原菌は黒色小粒菌核病菌と近縁だが、より腐生性が強く、黒色小粒が発病した後に侵入し、混発するとされる。

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