アカクローバの病害 (1)


モザイク病(mosaic-byo) Mosaic
病原:Alfalfa mosaic virus (AMV)、Bean yellow mosaic virus (BYMV)、White clover mosaic virus (WCMV)、Cucumber mosaic virus (CMV)、ウイルス
 代表的なウイルス病。自然状態では利用2ー3年目からはほとんどの株が罹病する。病徴は春から現れるが、植物の種類や環境条件によって、黄斑モザイク、緑斑モザイク、退緑斑点、縮葉など様々な病徴となる。ウイルスはアブラムシにより伝播されるが、その種類も様々である。病原ウイルスは4種が報告されているが、主なものはAMV、BYMV、WCMVである。病徴によりウイルスの種類が大体判別できる。


てんぐ巣病(tengusu-byo) Witches' broom
病原:Phytoplasma (PLO)、ファイトプラズマ
 株を萎縮させるファイトプラズマ病。アカクローバで発生が多い。病徴は、株の中央部から小型の葉が多数発生するようになり、これらの葉は赤褐色になり、あるいは色あせていく。株は次第に叢生状態となり、枯れていく。病原体はヨコバイ類により伝播される。


葉枯病(hagare-byo) Stemphylium leaf blight
病原菌:Pleospora herbarum (Persoon) Rabenhorst、子のう菌
 葉に多く発生する斑点性の糸状菌病。葉では水浸状小斑だが、やがて黒褐色になり、葉脈に仕切られた病斑となる。病斑はしばしば葉縁から伸長して隣接病斑と融合して大型病斑となり、葉は縮んで枯れる。病葉は早期に落葉する。病原菌はアルファルファ葉枯病菌と同種だが、アルファルファにはほとんど寄生性を示さない。


葉腐病(hagusare-byo) Summer blight
病原菌:Rhizoctonia solani Kühn AG-1 ⅠB, ⅠA、担子菌
 全国で発生し、草地の夏枯の一因となる重要な糸状菌病。初め灰緑色、水浸状に葉が変色し、やがてゆでたように軟化していく。さらに病気が進むと、茎や葉が倒れて重なって腐り、これをつづり合わせるようにしてくもの巣状の菌糸が見られる。罹病植物上には、明褐色~褐色、直径5mm程度の菌核が形成される。この時点で草地はつぼ状に枯れ、徐々に裸地化が進む。病原菌はほとんどのイネ科及びマメ科牧草を侵すきわめて多犯性の菌。ⅠB菌およびⅠA菌が関与する。


斑点病(hanten-byo) Summer black stem and leaf spot
病原菌:Cercospora zebrina Passerini、不完全菌
 主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。


いぼ斑点病(ibo-hanten-byo) Leaf spot
病原菌:Pseudopeziza trifolii (Bivona-Bernardi) Fuckel、子のう菌
 クローバの代表的な斑点性の糸状菌病。春および秋に冷涼多湿条件で多発するため、特に北海道など冷涼地での被害が大きい。病斑は初め褐色~黒褐色の小点が多数形成され徐々に広がるが、直径1-3mmにとどまることが多い。特に葉の裏の病斑の中央部にはいぼ状の突起が現れるが、これが雨によってふやけ胞子を飛散する。激発時は多数の葉が罹病し、枯死する。病原菌はアルファルファのいぼ斑点病菌とは別種である。他にシロクローバおよびアルサイククローバに発生する。


菌核病(kinkaku-byo) Sclerotinia crown rot and root rot
病原菌:Sclerotinia trifoliorum Eriksson、子のう菌
 冷涼多湿地域で発生する、株枯を引き起こす重要な糸状菌病。秋に感染して初め小さな斑点が現れ、やがて葉や茎が黄化、枯死する。積雪下で徐々に進行し、翌年の春の融雪後、気温の上昇と共に一気に茎葉や根が灰白色に腐敗する。枯死した植物の表面には綿毛状の白い菌糸が多量に絡みつき、やがて黒色、不定形、大きさ8ー10mm程度の大型の菌核が形成される。これが秋に発芽して明褐色、かさの直径が3ー8mmのキノコを形成し、ここから胞子が飛んで再び感染が起こる。病原菌の寄主範囲は広く、アルファルファやベッチ類にも感染する。品種抵抗性に関するQTL解析が行われ、DNAマーカーが開発されている。


茎割病(kukiware-byo) Northern anthracnose
病原菌:Kabatiella caulivora (Kirchner) Karakulin、不完全菌
 主にアカクローバの葉柄、茎、花軸に発生する糸状菌病。病斑は黒褐色、紡錘形、長さ1-3cmで、しばしば陥没して中央部から裂け、その部分から葉などが垂れ下がることが多い。病原菌は冷涼多湿条件を好み、主に北海道で春および秋に発生する。


黒葉枯病(kuro-hagare-byo) Black leaf blight
病原菌:Leptotrochila trifolii Narita、子のう菌
 冷涼地で発生する葉枯性の糸状菌病。病斑は葉縁から形成され、黒褐色、V字形となり、周囲は黄化する。病斑表面には黒粒点(子のう殻)が形成され、ここから溢泌する子のう胞子が風雨で飛散してまん延する。病原菌は他のクローバ類を侵すが、寄生性は分化している。


黒かび病(kurokabi-byo) Black patch
病原菌:Rhizoctonia leguminicola Gough et Elliott、不完全菌
 地上部全体に発生する糸状菌病。葉では黒褐色、不定形の病斑となり、即座に互いに融合しては全体を覆う大型病斑となる。病斑中心部には黒い毛羽だった菌核が形成される。激発すると、黒い菌糸が株全体に伸長し、株枯を引き起こす。病原菌は山羊の流涎症の原因となるスラフラミンというアルカロイドを産生する。

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