飼料作物病害図鑑

オーチャードグラス 炭疽病 リスク評価スコア2.7 (3,3,2)

病徴 病徴(拡大) 病原菌(剛毛)

病徴:暖地での夏枯の原因となる斑点性の糸状菌病。初め水浸状の小斑点が現れ、これが広がって淡赤褐色~橙色、楕円形~紡錘形、長さ5-10mm、幅2ー4mm程度の病斑になる。病斑が古くなると中央部に剛毛という菌組織を形成し、黒くかびたように見える。多湿条件下ではオレンジ色の胞子粘塊を形成し、これが風雨で飛散してまん延する。梅雨明けから夏の終わりにかけて発生する。

病原菌:Colletotrichum graminicola (Cesati) G.W.Wilson、不完全菌
褐色~黒褐色の分生子座上に無色、鎌形の分生子を多数形成する。子座には黒褐色~黒色の剛毛を数本~数多く形成する。病原菌はライグラス、エンバクなどの炭疽病菌と同種であるが、それぞれ寄生性が分化しており、オーチャードグラスの菌はライグラス、エンバクなどに病原性を示さないとされる。病原菌はトウモロコシなどC4暖地型植物の炭疽病菌と同種とされてきたが、C3寒地型植物の炭疽病菌は分子系統および分生子の幅が狭い等の特徴から、学名をColletotrichum cereale Mannsと変更する意見もある。


生理・生態:菌の生育適温は25℃付近であり、C4暖地型植物の炭疽病菌よりも低い(農林水産研究文献解題~オーチャードグラスの病害)。罹病葉のさく葉標本情報から、過去の発生分布が推定されている(月星ら 2006b)。

防除法:品種系統間で抵抗性に差があり、抵抗性個体の中には真性抵抗性と考えられるものも存在する(月星ら 1997a, 1999e)。抵抗性程度の高い系統が育成されている(荒川ら 2006a)。夏枯れの原因の一つであり、高越夏性系統を選抜する上で、重要な耐病性項目となる(川口ら 2010)。耕種的防除法としては、刈り遅れないことと、種子伝染するため種子消毒も有効である。

総論:月星(2011c)


畜産研究部門(那須研究拠点)所蔵標本

標本番号 宿主和名 宿主学名 症状 採集地 採集年月日 採集者
N5-32 オーチャードグラス Dactylis glomerata L. 炭疽病(斑点病併発) 宮城 川渡? (大沢?) 1972.9.6
N11-1 炭疽病 宮城 川渡
N11-3
N11-4
N6-13 雪印千葉研究農場 1983.8.4
N11-1 宮城 川渡(6区) 1972.9.6
N11-3 宮城 川渡(5区)
N11-4 宮城 川渡(六角)
N11-32 宮城 大盤平 1972.9.4
N11-33
N11-51 宮城 農試 1972.9.7
N11-55 宮城 岩出山 1972.9.5
N11-60 宮城種畜牧場
N13-84 熊本県菊池郡西合志町 九州農試草地部 1975.9.4 西原夏樹
N15-20 岩手 小岩井 1972.7.24
N19-26 雪印 1958.7.15
N19-29 畜試 1959.7.9
N20-33 宮城県
N11-61 〃(すじ葉枯病併発) 宮城種畜牧場 1972.9.5
N21-1 炭疽病 宇都宮市(家畜研) 1972.10.15 宇梶
N21-17 足利市 1972.6.29
N21-25 佐野市
N21-51 那須高林 1972.10.19
N21-90 大木須 1972.8.12

(月星隆雄,畜産研究部門,畜産飼料作研究領域,2021)


本図鑑の著作権は農研機構に帰属します。

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