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ニホンナシの新一文字型樹形は早期成園化と省力化を可能とする
[要約]
ニホンナシにおける新一文字型樹形は、樹冠の拡大が早いことや植栽本数が多いことから早期成園化を可能とし、棚下への直線状の主枝配置や単純な側枝配置で、作業動線が直線的であることから省力化が図られる樹形である。
[キーワード]
ニホンナシ、新一文字型樹形、早期成園化、省力化
[担当]
福島県農業総合センター・果樹研究所
[代表連絡先]
電話 024-542-4191
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
過年度普及成果情報(平成26年度)
[背景・ねらい]
東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県内のナシ産地は甚大な被害を受けている。福島県のナシ産地を再生するためには、新たなほ場への新植を始め、生産性の低下した園地の改植や品種構成の改善を目的とした改植において早期成園化技術の導入が必要であり、また、生産者の減少に伴い、省力的な栽培技術の導入が求められている。
そこで、ニホンナシの早期成園化及び省力化を可能とする樹形として新一文字型樹形の実用性について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 新一文字型樹形は、棚下50cmの高さで主枝を二分し、棚下15cmの高さに2本の主枝を一文字状(直線状)に配置し、主枝の両側に肋骨状に側枝を配置した樹形とする。なお、10a当たりの植栽本数は、新一文字が56本(3m×6m植え)、慣行は18本(7m×8m植え)とする(図1)。
- 新一文字型樹形は、慣行樹形に比較して主枝本数が少ないため、主枝が太く、主枝長も長い傾向にあり、樹冠の拡大が早い(表1)。
- 「あきづき」における新一文字型樹形の収量(10 a当たり)は、植栽本数が多いことや樹冠拡大が早いことから、定植8年後で慣行樹形の2倍以上となる。「幸水」でも、新一文字型樹形の収量(10 a当たり)は慣行樹形を大きく上回る(図2)。なお、果実品質に差は認められない。
- 「あきづき」における新一文字型樹形の作業時間(収穫果10,000果当たり)は、慣行樹形に比べ新梢誘引に要する時間が短く、せん定、枝結束、摘らい、予備摘果等の作業でも短い傾向があり、全体の作業時間も15%程度短縮できる。新一文字型樹形は、主枝が棚下に配置されていることから新梢誘引が容易であり、また、作業動線が直線であることから作業効率は高い(図3)。
- 苗木代が慣行樹形の3倍程度必要となり、また、棚下に主枝を這わせる太めの番線の設置が必要である。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:ニホンナシ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:福島県・2 ha
- その他:福島県内浜通り地区のナシ産地で導入予定
[具体的データ]
(額田光彦、志村浩雄)
[その他]
- 研究課題名
- 持続的果樹経営を可能とする生産技術の実証研究
- 予算区分
- 外部資金(先端プロ)
- 研究期間
- 2013〜2017年度
- 研究担当者
- 額田光彦、斎藤祐一、木幡栄子(福島農総セ)、志村浩雄
- 発表論文等
- 園芸学会東北支部平成 27 年度大会研究発表要旨