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キク「精の一世」採穂用親株の温度及び日長管理が採穂と採花に及ぼす影響

[要約]

「精の一世」の採穂用親株を5℃加温電照で管理すると3月中旬から7月下旬までの採穂により、7月から11 月の採花に対応できる。また、無加温無電照で管理すると4月中旬から6月下旬までの採穂により8月から10 月の採花に対応できる。

[キーワード]

キク、「精の一世」、親株養成、温度管理、日長処理

[担当]

青森農林総研・花き部

[代表連絡先]

電話0172-52-4341

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

近年、青森県では、夏秋白輪ギクは「精の一世」が主力品種となったが、従来の主要品種と生態的特性が違うため、本県における適応性や開花特性を把握する必要がある。ここでは、苗の自家生産のために、切り下株を採穂用親株として用いる際の管理方法が、採穂数及び採花に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 採穂数は、5℃加温の電照で3月中旬から7月下旬まで株当たり3本以上確保でき、7月から11 月採花に対応できる(表1表2)。無加温では電照の有無にかかわらず、また5℃加温では無電照の場合に、3月中旬の採穂数が少なく7月採花に対応できないが、4月中旬以降は採穂数が確保できる(表1表2)。
  2. 定植後の早期出蕾は、5℃加温では、無電照の場合7・10・11 月採花で5〜85%(表1表2)、電照の場合、5〜6%発生する(表1)。
    また、無加温では、無電照の場合11 月採花で40〜80%発生するが、電照の場合は発生が見られない。トンネル被覆では、10・11 月採花で40〜50%発生する(表2)。
  3. 親株への加温及び電照の有無による採花期の違いは認められず、切り花品質には一定の傾向が見られない(表1表2)。
  4. 以上の結果、採穂用親株は、5℃加温電照で管理することにより、3月中旬から7月下旬までの採穂数が確保され、定植後の早期出蕾の発生が少なく、7月〜11 月採花に対応できる(表3)。
    無加温の管理では電照の有無にかかわらず4月中旬から7月下旬まで採穂数が確保されるが、無電照の場合7月下旬に採穂したものは早期出蕾が発生するため、4月中旬から6月下旬までの採穂により、8月〜10 月採花対応に限定される。(表3

[成果の活用面・留意点]

  1. 無加温無電照の管理では、トンネル被覆による高温の影響で早期出蕾が発生する場合があるので、高温にしないようにする。

[具体的データ]

((地独)青森県産業技術センター農林総合研究所)

[その他]

研究課題名
花きの夏秋期高品質安定生産技術の試験・研究開発
予算区分
県交付金
研究期間
2014〜2015 年度
研究担当者
東秀典(青森農林総研)