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日長処理がダリアの塊根形成におよぼす影響

[要約]

ダリア生産において、自然および電照による15 時間日長下で10 月まで12 週間以上栽培して採花し、13 時間以下の自然による短日条件下で9週間以上管理することで効率的に塊根が形成・肥大される。

[キーワード]

ダリア、球根形成、長日処理、電照

[担当]

秋田県農業試験場 野菜・花き部

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

秋田県内の切り花ダリア栽培では、春に塊根や挿し芽苗を植え付け、夏〜秋期にかけて切り花を出荷し、初冬に掘り上げた塊根を翌年の栽培に用いる作型が主流である。切り花品質を低下させる露心花対策として秋期に電照長日処理が行われるが、長日には塊根肥大を抑制する作用もあり、翌年の栽植用塊根が不足することが問題となっている。そこで、採花時の長日処理と、その後の短日条件での管理の組合せが塊根形成・肥大へ及ぼす影響を調査する。

[成果の内容・特徴]

  1. 電照による15 時間の長日処理を生産終了時まで継続すると、塊根の形成はするがその数が少なくなり、肥大も抑制される(図1図2図3)。自然および電照による15時間日長の長日条件下で10 月まで12 週間以上栽培して採花し、その後13 時間以下の自然日長による短日条件で9週間以上管理することで、無電照時と同等数量以上の肥大した塊根が形成される(図1図2図3)。
  2. 挿し芽定植した場合は、塊根定植した場合よりも塊根肥大が進まず、地下部重が小さい(図1図2図3) 。
  3. 露心花発生は、品種間差があるが、長日処理終了後の短日条件期間においても一定期間は抑制される。塊根掘り取り予定の9週間前まで15 時間長日処理を行うことで12 月の塊根掘り取りまで露心花発生を少数に抑制することができる(図1図4)。しかし、短日条件期間の採花は塊根肥大を抑制する(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験は、塊根を春に定植し、初冬に掘り取りを行う作型における結果である。
  2. 短日条件期間は採花を続けることで塊根肥大が進みにくくなるため、短日条件期間において採花を極力避ける必要がある。
  3. ダリアの塊根は芽がついていないと発芽しない。本試験で芽の有無について定量的な調査は行っていないが、短日条件による芽の生育に障害はなかった。

[具体的データ]

(秋田県農業試験場)

[その他]

研究課題名
無病球根の効率的増殖を核とした有望球根切り花の生産流通技術開発
予算区分
実用技術
研究期間
2013 年度
研究担当者
山形敦子、佐藤孝夫、間藤正美、佐藤努