- [要約]
- ヤマノイモを剥皮、すりおろした後にビタミンC(0.2%)、調味液、AIT(アリルイソチオシアネ-ト:0.01ml/100g)を添加し、高圧処理(400MPa叉は700MPa、20℃、10分)により、生菌数を著しく減少させた保存性・粘性の高いトロロ調味品ができる。
兵庫県立北部農業技術センター・加工流通部
[連絡先] 0796-74-1230
[部会名] 流通利用
[専 門] 食品品質
[対 象] イモ類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 丹波ヤマノイモのトロロは食味がよく、需要が見込めるが、すりおろしの状態では日持ちが悪く、加熱処理では粘性が低下する。また、剥皮に労力を要し、簡便な食材利用の対策が望まれている。そこで、植物体の抗菌機能と高圧技術を活用して粘性及び保存性の高いトロロ調味品を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 80℃以上の温湯処理では、ヤマノイモ(系統:アオヤマ)の粘性を著しく低下させ、粘性が低下しない温度帯では生菌数の減少は小さい。保存中の色調変化は0.2%程度のビタミンC添加により抑制できる(表1、表2)。
- AITの添加は添加量に比例して生菌抑制効果が高くなる。トロロ100g中に占めるAIT0.005mlは市販練りワサビ0.5gの抗菌効果にほぼ相当する。静菌効果はAIT0.01~0.05ml/100gでみられ保存中の色調変化はほとんどみられない(表3)。ただし、AITの添加量が0.02ml/100g以上では、トロロの辛味は強まる。
- 高圧処理条件は400MPaよりも700MPaの方が生菌数の減少効果は大きい。さらに、高圧処理とAIT0.01ml/100g添加を組み合わせることにより生菌数の抑制効果は一層高まる(表4)。
- 高圧処理による色調への影響は小さく、700MPaの処理でb値(黄色度)がわずかに低下する。粘性はAITの有無に関係なく、700MPa、50℃処理で粘性の低下がみられる(表4)。
- 保存性及び粘性を保持させたヤマノイモ調味品の製造工程は、ヤマノイモを剥皮、すりおろした後にビタミンC(0.2%)、調味液、AIT(0.01ml/100g)を添加し、高圧処理条件は700MPa、20℃、10分が最適である。
[成果の活用面・留意点]
- 高圧処理装置の実用加圧条件は400MPaまでであり、現場での使用には400MPa、20℃、10分の高圧処理で減菌した調味食品の流通が実際的である。
- 高圧処理・冷凍品流通では、約1か年の品質保持が期待できるが、凍結保存すると無処理に比べて1割程度粘性が低下する。
[その他]
研究課題名 : 中山間地の特産品を用いた加工食品の開発
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成9年度(平成8~10年)
研究担当者 : 永井耕介、福嶋 昭、松原 甲、田畑広之進、小河拓也、井上喜正
発表論文等 : なし
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