- [要約]
- ワサビに含まれる抗菌成分アリルイソチオシアネート(AIT)の添加と高圧処理を組み合わせた微生物制御法を開発した。これにより、低い圧力、少ないAIT添加量で、殺菌・静菌効果を得ることが可能となった。キュウリ浅漬への適用を検討した。
島根県しまねの味開発指導センター・加工技術科
[連絡先] 0855-28-1881
[部会名] 流通利用
[専 門] 食品品質
[対 象] 微生物
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 近年、食品素材の特徴を活かした安全な微生物制御法の開発が求められている。高圧処理やアリルイソチオシアネート等の天然抗菌性物質の添加による微生物制御が試みられているが、前者においては、殺菌効果を得るには高圧力が必要であること、後者においては、特有の刺激臭を有するために使用量が限られること等の理由により、いずれも用途が制約されているのが実状である。そこで、それぞれの処理条件を緩和して食品への応用範囲を広げるため、両者の併用処理による殺菌・静菌効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 4種類の細菌を供試して、高圧処理単独での殺菌試験ならびにAITによる増殖抑制試験を行うと、完全殺菌に要する圧力は300~500(芽胞は>600)MPaとなり、AITの最小生育阻止濃度は160~>320μg/mlとなる。
- 高圧とAIT添加の併用処理、すなわちB.subtilis (栄養細胞)は40~80μg/ml、E.coli は20~80μg/mlのAITを添加して、200MPaの高圧処理を行うことで完全殺菌が可能となる(図1)。また、S .Enteritidisは10~20μg/mlの微量のAIT添加で効果がある。
- 殺菌不十分なAIT濃度でも、併用処理による初発菌数の減少に加え、AITの抗菌作用により、菌数増加の遅延効果が認められる(図2)。併用処理による殺菌効果の全く認められないS.aureus においても、AITによる増殖の遅延効果は認められる。
- 併用処理により、キュウリ浅漬の日持ちが、15℃保存で無処理の2倍の4日に向上する。
[成果の活用面・留意点]
- 本処理法では、耐圧性の細菌芽胞に対しては殺菌効果が認められないため、商品寿命の短い食品の日持ち向上に効果的であると考えられる。
- 本処理法は、病原性大腸菌O157対策にも有効である。
[その他]
研究課題名 : 中山間地域の特産品を用いた加工食品の開発
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成9年度(平成8~10年)
研究担当者 : 小川哲郎、松崎 一、仲谷敦志
発表論文等 : 高圧とアリルイソチオシアネートの併用による殺菌・静菌効果、日本食品科学工学会誌、45巻6号(印刷中)
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