近赤外分光法によるモモの葉中無機成分の迅速測定


[要約]
近赤外分光分析法により、モモの葉中無機成分の簡易で迅速な測定が可能である。葉を乾燥して分析する方法では、窒素、カルシウム、カリウムの実用性が高い。また、生葉でも乾燥葉より精度はやや劣るが窒素とカルシウムの測定が可能である。
岡山県立農業試験場・化学部
[連絡先]  08695-5-0271
[部会名]  流通利用、生産環境(土壌肥料)
[専 門]  情報処理
[対 象]  果樹類
[分 類]  研究

[背景・ねらい]
 果実品質と樹の栄養状態は密接な関係にあり、高品質な果実を生産するためには樹の栄養状態を適正に維持することが重要である。しかし、従来の栄養診断の一手段である葉分析には技術と時間を要する。そこで、近赤外分光法による迅速簡易な葉中無機成分の測定法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 近赤外分光分析法によるモモ葉中の窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム測定用の検量線を、葉を乾燥粉砕して反射測光する方法と、生葉のままで透過測光する方法で作成した。
  2. 試料は3か年に渡り5月から9月までの期間に結果枝の新梢の一定の葉位から採集した。化学分析は、70℃で一夜通風乾燥し微粉砕した試料を硫酸過酸化水素分解し、窒素はセミミクロ蒸留法、リンはバナドモリブデン法、カリウムは炎光光度法、カルシウムとマグネシウムは原子吸光法で行った。
  3. 検量線は、2次微分スペクトルを重回帰分析し作成した。
  4. 葉を乾燥粉砕して分析する方法において、近赤外分析値と化学分析値の相関係数が0.9以上で、実用性が高いと判断された無機成分は窒素、カルシウム、カリである(表1図1)。
  5. 生葉のままで分析する方法では、葉を乾燥して分析する方法に比べ精度はやや劣るものの、窒素とカルシウムは近赤外分析値と化学分析値の相関係数が0.9以上であり、実用性が高い(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]

     NIRsystems社の近赤外分光光度計には、表1に示した検量線が移植可能であり、装置間のバイアスを補正するだけで、モモの乾燥葉中の窒素、カルシウム、カリウムの測定が可能である。今後、小型で携帯可能な近赤外測定装置が開発されれば、圃場でリアルタイムに生葉中の窒素などの成分の非破壊測定が可能となる。

[その他]
研究課題名 : 内部品質を重視した地域農産物及びその加工製品の非破壊品質判定技術の開発
予算区分   : 地域重要新技術
研究期間   : 平成9年度(平成6~8年)
研究担当者 : 高野和夫、妹尾知憲、村西久美、海野孝章
発表論文等 : モモの果実成分と葉中成分の非破壊測定、農業および園芸、72巻、9号、1997.
目次へ戻る