[成果情報名]

rolC遺伝子導入による嵯峨ギクの草姿の改変

[要約] 嵯峨ギク‘小倉錦’にrolC遺伝子を導入することにより、側枝数が増加するとともに節間伸長が抑制される。
[キーワード] キク、形質転換、rolC
[担当] 京都農資セ・応用研究部
[連絡先] 0774-93-3527、tkubo@kab.seika.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 タバコやカーネーションなど多くの植物種においてrolC遺伝子の導入による分枝の促進および節間伸長の抑制が報告されている。そこで、京都府の草花に指定されている嵯峨ギクのわい性品種作出を目的として、嵯峨ギクにおけるrolC遺伝子導入効果について調査する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 導入する遺伝子は、rolC遺伝子にAgrobacterium rhizogenesrolCオリジナルプロモーターを連結したop::rolCとする。バイナリーベクターpBI121-op::rolC を保持するA.tumefaciens LBA4404を、嵯峨ギク「小倉錦」の無菌植物体から採取した5mm角葉片に接種後、葉片を植物ホルモン無添加のMS培地に置床して25℃暗下で3日間培養する。共存培養後、除菌選択培地(2mg/L NAA、1mg/L BA、 250mg/Lカルベニシリンおよび100mg/Lカナマイシンを添加したMS培地)に移植し、25℃16時間照明下で培養する。その後、誘導された不定芽を250mg/Lカルベニシリンおよび100mg/Lカナマイシンを添加した1/2MS培地に移植して発根を促し、形質転換体を得る。
  2. op::rolC導入個体では、頂芽優勢が弱まり、側枝数が増加するとともに、節間伸長が抑制され、草丈が非形質転換体の40~65%程度となる(表1図1)。
  3. 非形質転換体およびop::rolC導入個体の間で開花までの日数に差は認められないが(両者とも短日処理を開始してから約8週後に開花)(図2)、op::rolC導入個体では舌状花長が非形質転換体の56~67%に減少する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 得られたrolC遺伝子導入系統は14系統あり、いずれの系統も側枝数の増加は認められたものの、わい化の程度には差が認められた。なお、本試験のデータはわい化が顕著に認められた2系統について調査したものである。
  2. 舌状花長の減少に認められるrolC遺伝子導入による悪影響を解消するため、花器官の発達および生育には影響を及ぼさないようなプロモーターの検討が必要である。

[具体的データ]


[その他]
試験研究課題名 嵯峨ギクの形質転換系の確立
予算区分 府単
研究期間 2000~2004年度
研究担当者 久保 崇、津呂正人、月森敦之、竹本哲行、静川幸明、稲葉幸司
発表論文等 1) Tsuro et al. (2002) Environ. Control in Biol. 40:285-290.
2) 津呂ら(2002)育種学研究4(別2)203.
3) 久保ら(2004)園学雑73(別2)585.

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