[成果情報名]

遺伝子導入によるダイズへのダイズモザイクウイルス抵抗性の付与

[要約] ダイズモザイクウイルス(SMV)の外被タンパク質(CP)遺伝子及びRNAポリメラーゼ(NIb)遺伝子を導入したダイズ形質転換体はSMV抵抗性を示す。
[キーワード] ダイズ、遺伝子導入、SMV、CP遺伝子、NIb遺伝子、ウイルス病抵抗性
[担当] 京都農資セ・応用研究部
[連絡先] 0774-93-3527、shizu@kab.seika.kyoto.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 大豆ではダイズモザイクウイルス(SMV)による被害が大きく、生産振興上の問題となっている。そこで、新たなSMV抵抗性素材を育成するため、SMVの外被タンパク質(CP)遺伝子あるいはRNAポリメラーゼ(NIb)遺伝子をダイズ品種「Jack」に導入し、SMV抵抗性付与の有効性を実証する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. EL2ΩプロモーターにつないだCP遺伝子またはNIb遺伝子を、それぞれハイグロマイシン(Hyg)抵抗性遺伝子と共にパーティクルガン法でダイズ不定胚に導入する。Hyg添加培地で生育した不定胚から植物体を再分化させた後、PCR法で目的遺伝子を導入した形質転換体を選抜する。
  2. CP遺伝子を導入してSMV抵抗性を付与した形質転換体No.55の後代(T2及びT3)の特性は以下のとおりである。
    1) 得られた形質転換体No.55のT2及びT3にSMV5系統(A~E系統)のうちのSMV-Dを接種すると、葉や種子に病徴が観察されず(図1)、ELISA分析やRT-PCRでも陰性となる系統が得られる。
    2) サザン分析の結果、No.55には4~6コピーのCP遺伝子が導入されている。
    3) ノザン分析の結果、CP遺伝子由来RNAが少ない系統で抵抗性が観察される(図2)。このため、SMV由来CP遺伝子を導入することで、SMVのRNAがRNAiにより分解される結果、SMV-Dに対する抵抗性を獲得すると考えられる。
    4) 抵抗性が見られた形質転換体に、他のSMV4系統(A,B,C,E系統)を接種すると、いずれの接種区でも病徴は現れない、または非常に軽微である。
  3. NIb遺伝子を導入してSMV抵抗性を付与した形質転換体NIb-7のT2の特性は以下のとおりである。
    1)得られた形質転換体NIb-7のT2にSMV-Dを接種すると、モザイク症状等の病徴を全く示さず、ELISA分析でも陰性を示す個体を得ることができる(図3)。2)抵抗性個体についてサザン分析を行ったところ、3コピーのNIb遺伝子が導入されていることがわかる(図4)。
  4. CP遺伝子またはNIb遺伝子をダイズに導入することにより、それぞれSMVに抵抗性を示すダイズを作出できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 2種類の異なる遺伝子を導入したSMV抵抗性ダイズを作出できたことによって、交雑育種によりSMV抵抗性ダイズ新品種を育種することが可能となる
  2. 本導入系では多コピーの遺伝子が導入される傾向があるので、後代個体での抵抗性程度に差ができやすい。この点について留意しながら抵抗性系統を選抜する必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 ウイルス病抵抗性付与遺伝子を導入したダイズの作出・選抜と抵抗性評価
予算区分 地域先端(国補)
研究期間 2002~2003年度
研究担当者 静川幸明、古谷規行、小坂能尚、日高操(東北農研)
発表論文等 1)Furutani and Hidaka (2004) Breeding Science 54:91-98.
2)静川ら (2003) 育種学研究5(別1)295.
3)静川ら (2004) 育種学研究6(別1)270.

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