農研機構

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農研機構・見学施設の誌上公開

農研機構では、毎年夏に親子で農業と科学にまつわる知識を楽しく学んでもらう体験型のイベント企画「夏休み一般公開」を開催してきました。4千名を超える来場者が、研究の成果に触れて、味わって、体験して、幅広い世代の皆様に、食と農の研究への興味を育んでいただける場になっていたことと思います。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年に引き続いて体験型イベントとしての開催を見送ることとなりました。

そこで、今年の夏は、「広報なろ」の誌上で見学施設をご紹介します。これら施設では、日本の農業の歴史をたどる農機具のコレクションから最新研究の成果、先端研究を支える基盤の一端を垣間見ることが出来るでしょう。なかでも、誌上限定の特別公開となる昆虫標本館は、明治32年以来の昆虫標本が蓄積されていて、その総数は約150万点にものぼります。昆虫に関する研究の基礎を築いている研究者にもご注目ください。

今、様々な困難が地球規模で生じています。本誌でもご紹介しましたが、宇宙飛行士・毛利衛さんの講話で、地球という限りある環境の中での生命のつながりについてのお話を伺い、生命が「食」によってつながり、農業によって「食」がつながっているということを再認識しました。世代を超えて、農業が持続的に食を提供できる環境を維持していくことも、農研機構の研究開発における重要な使命です。

「広報なろ21号」は、とりわけ未来を担う青少年の皆さんに、「食」を支える農研機構の研究活動を知り、農業・食品産業への関心を高めていただきたいとの思いを込めて制作しました。今号で紹介する見学施設は、事前にお申し込みが必要ですが、機会があれば是非お越しいただきたいと思います。

最後になりますが、農業・食品産業の発展に貢献するため、基礎から応用までの幅広い分野で取り組んでいる農研機構の研究開発に触れる機会として、本誌をご活用いただければ幸いです。

農研機構 理事(評価、広報、国際連携・SDGs担当)
勝田 眞澄