農研機構

特集1
農作業事故を知る
農作業事故の要因と対策
画像:事故事例
解説 : 積グループ長

ここで紹介する農作業事故の事例はほんの一部です。「自分は大丈夫」と思っていても、実際には農作業現場の「機械」「環境」「作業方法」のそれぞれに危険が潜んでいて、大きな事故につながってしまう、ということが多く起きており、誰にとっても他人ごとではありません。大変な事態を招いてしまう前に、ぜひこれまでの事例から学んで農作業事故を「自分ごと」と考え、事前の対策で自分自身や家族、仲間を事故から守りましょう。

操作や装備などに要因
作業環境などに要因
作業方法などに要因
機械の
転落・転倒

事例1
乗用トラクターによる頭部打撲および裂傷

夕方にトラクターで走行中、右側の畑の支柱が目に入って脇見運転となり、左側斜面に脱輪した。ローダで後方へ引き上げてもらう途中でトラクターが傾き、そのまま斜面下へ転落した事例。

画像:事故現場と使用機器
改善ポイント

安全キャブ・フレーム装備のあるトラクターを利用した上で、シートベルト、ヘルメットを必ず着用する

道路の拡幅 ⇒ 事故になりにくい現場づくり

作業の段取りはゆとりを持って

回転部への
巻き込まれ

事例2
自脱型コンバインによる指先骨折

作業前に暖機運転をしながらコンバインの注油・清掃を行っていたところ、こぎ胴駆動ベルト付近のゴミに気付き、とっさに手を伸ばしてゴミを取ろうとしてしまい、手前のベルトに巻き込まれた事例。

画像:作業状況と使用機器
改善ポイント

機械を動かしての点検整備等は禁止

作業の手元は明るく

気になることがあったらまず機械を止める

刈刃による
切られ

事例3
刈払機(キックバック)による粉砕骨折および切創

背負式刈払機で水田畦畔を草刈作業中、ほ場進入口付近を刈っていたところ、脇にあった盛り土に刈刃が当たり、キックバックを起こして左足に接触し負傷した事例。

画像:作業環境と状況

※この写真は作業時の姿勢を再現したものです。

改善ポイント

現場に適した機械(背負・肩掛、刃の種類等)を使用する

障害物の事前確認、撤去できないものには目印を付ける

正しい作業方法(刈刃左前方1/3で刈払等)と保護具の着用を徹底する

刈刃による
飛散物

事例4
刈払機(飛散物)による負傷

肩掛式刈払機で排水路の法面の草刈中、雑草の中にあった鉄製のアングルに気付かず刈刃が接触し、チップが破損。そして、欠けたチップが被災者に飛散し、手首の筋肉内側までチップが食い込み手術で摘出した事例。

画像:作業環境、状況および使用機器
改善ポイント

安全装備(飛散物防護カバー)を外さない

障害物の事前確認や撤去できないものには草丈より高い目印を付ける

作業に適切な服装・保護具を着用した上で熱中症対策も徹底する