農研機構

公開2

農業環境インベントリー展示館
6mの土壌モノリス!

インタビュアー
なろりん
ダイバーシティの
マスコット

インタビュアー
スジヲ
食と農の科学館に
常駐しているよ

展示されている土壌モノリス

土壌一筋の前島さんと神山さんに直撃!

農業環境研究部門土壌環境管理研究領域
前島 勇治グループ長

農業環境研究部門研究推進部研究推進室
神山 和則さん

これは何?

土壌図を作る際の科学的根拠になるのが「土壌モノリス」です。例えば、昆虫だとタイプ標本と呼ばれる、土壌分類の元となる標本です。ここの土壌モノリスの展示数は日本最大級で、地質、気候、植生や地形、そして農業や造成など人間活動の作用でできた様々な土壌の顔つき(土壌断面)を見比べて理解できます。日本で1cmの土壌ができるのに100年、つまり1mで約1万年かかります。海外では1mで約10万年です。日本の土ができるスピードは、全世界平均で比べると約10倍速いんです。日本は火山の影響で常に土の材料(母材)が更新され、山がちな地形のため川から運ばれてきた母材が、表土に積み重なったりするので土壌化が速いのです。常に新しい母材が供給されるので、土が痩せることなく、リフレッシュされていくから農業にとっては恵まれています。

この大きなモノリスは
何メートル?

6mあり、底辺は12万5000年前頃の海底。静かな海で、砂の筋ができたり、貝の化石のようなものもあります。だんだん海が退いていって、鬼怒川が運んできた粘土がたまったり、周辺の火山から飛んできた火山灰が積み重なったりしています。上の2~3mは関東ロームという地層です。6mの中には12万5000年っていう長い歴史が詰まっています。
※農研機構敷地内で採取

6mの土壌モノリス:鬼怒川の氾濫で運ばれた土砂の層、7万年前火山の噴出物を含んだ層、12万5000年前の海底に堆積した砂の層

土壌モノリスの作り方

現場に樹脂を持って行き、直接土壌断面に樹脂を塗り、布を貼ってしばらく経つと、写真のようにはがせます。枠にはめて、固定すると出来上がりです。

豆知識
10土壌大群とは?

日本の土壌を大きく10種類に分類。主要な土壌は黒ボク土、褐色森林土、低地土と赤黄色土。赤黄色土は沖縄をはじめ本州や北海道にもあります。日本がまだ暖かかった時代にできたのではないかと言われ、土壌学では「化石の土」と呼ばれます。

そのほかの見どころ

❶肥料・煙害・放射能モニタリング展示室 : 日本の農業研究所で初めて、アイソトープ研究の施設がつくられました。

❷企画展示 : 土壌侵食と二酸化炭素の固定などの研究を展示。

❸土壌モノリス展示室 : 国内外の土壌断面標本約300点を所蔵・展示。さまざまな土壌の実物を見比べることができます。