農研機構

特集1 つながる×農研機構 ~地域とともに成長~

生産者とつながる

農研機構保有の技術やノウハウを
生産者や生産現場につなげています。

写真 : 左 「かしま広域農場」顧問の工藤さん 写真 : 右 農業技術コミュニケーションスタッフの泉さん。
重点普及成果「ダイズ難裂莢性品種群」の「フクユタカA1号」の現地実証試験ほ場にて

取組

生産者との
コミュニケーション

普及スタッフ

農業技術コミュニケーター

農業技術コミュニケーションスタッフ

産学連携コーディネーター

農研機構では、全国5カ所の地域農業研究センター(北海道、東北、中日本、西日本、九州沖縄)に農業技術に関する相談窓口を設けています。「普及スタッフ」は農業に関する課題解決や振興を目的に、地域に寄り添いながら活動しています。

大豆難裂莢性(なんれっきょうせい)品種「フクユタカA1号」の試験栽培で減収の解決に取り組む

普及スタッフとともに取り組まれていることについて「農事組合法人かしま広域農場」(熊本県嘉島町)顧問の工藤健一さんにお話を伺いました。

Q. どんな問題があったのでしょうか?

A現在、夏作の45%が大豆、55%が水稲で、冬作は小麦を栽培しています。農家所得で見ると大豆の所得が最も高く、大豆は最も重要な作物となっています。大豆の栽培面積が多くなると、刈り取り期間が長くなります。しかし、管内では収穫作業をカントリーエレベーターの荷受け量に沿って行っているため、収穫時期が最後の方になると莢(さや)が弾けて中の大豆が地面に落ちて減収となる農家がいました。

Q. どう解決に向かっていますか?

A平成28年(2016年)熊本地震後、水稲の作付けができず大豆の面積が大幅に増加し、刈り遅れによる減収が大きな問題となっていました。そんな時、莢が弾けにくい品種「フクユタカA1号」の存在を知り、試験栽培を希望しました。
昨年、普及スタッフから30a分(15kg)の種子の手配をしてもらい、実証試験ほ場を設置しました。結果は良好で、今年は実証試験ほ場も2カ所に拡大して試験栽培を実施しています。「フクユタカA1号」が課題を解決してくれるのではと期待しています。

Q. これから目指す農業は?

A現在は2年に1作の大豆(水稲と交互)ですが、今後、3年に大豆2作、水稲1作を目指して大豆の拡大を進めようと思っています。「フクユタカA1号」の普及を進めて、農家の所得向上や地域農業に貢献したいです。

Q. 普及スタッフはどんな存在?

A農家、生産法人、JAにとっては、"助かる存在"。先進的な取組の方向付けを一 緒になって考えてくれ、課題解決に取り組んでくれる。コンサルタントのような存在です。

「農事組合法人 かしま広域農場」
2015年設立の広域農場。農地集積バンクを活用した同農場は町全体をカバーする広さで、九州最大の面積となる。6つの集落営農組織から構成され、394人の農家が1人1票の決定権を持つ農事組合法人の形をとる。

  • 大規模農業による生産コストの削減
  • 米や麦の高品質生産の実現
  • ブロックローテーションの大豆団地化
  • 農業機械を共有して経費削減
  • 認定農業者と共存して、地域農業の維持と発展

農研機構の技術を導入したいと思ったら…

農研機構では、都道府県の農業研究機関(公設試)、農業改良普及センター、JA、農業法人、生産者などとの情報交換、意見交換を通じて、地域における現場ニーズの把握、問題点の抽出を行っています。また、技術相談、現地検討会などを通じて農研機構の成果の普及を進めています。
農研機構が開発した技術を使いたい方はいつでもご相談ください。農業技術コミュニケーターが仲介して研究者に相談することも可能です。

お問い合わせ・相談窓口

北海道エリア
北海道農業研究センター
TEL 011-857-9212
h-jigyoka@ml.affrc.go.jp
東北エリア
東北農業研究センター
TEL 019-643-3407
jigyoka@ml.affrc.go.jp
関東・甲信・東海・北陸エリア
中日本農業研究センター
TEL 029-838-8509
c-jigyoka@naro.affrc.go.jp
近畿・中国・四国エリア
西日本農業研究センター
TEL 084-923-5231
w-renkei@ml.affrc.go.jp
九州・沖縄エリア
九州沖縄農業研究センター
TEL 096-242-7555
q_jigyo@ml.affrc.go.jp

取組

農作業の標準化

農研機構では開発した技術を活用いただくために、都道府県の普及担当者・指導者や現場で農業に従事されている皆様向けにSOPを公開しています。
SOPの農研機構外からのダウンロード回数は公開後1年間で合計3万回を超え、営農者・普及機関・大学での講義などに広く活用いただいています。

SOPとは?

SOPとは、Standard(標準)Operating(作業)Procedures(手順書)の略で、日本語では「標準作業手順書」と言います。もともとビジネス用語で、業務の作業や進行上の手順について詳細に記述した指示書のことです。

[SOPにはこんなことが書いてあります]

「乾田直播栽培体系標準作業手順書」より

★ SOP中身拝見

これまで農研機構は農業技術の成果をホームページなどで公開していましたが、その技術をいざ利用しようとした場合、「具体的にどうしたらよいのかよくわからない」というご意見がありました。それにお応えするために、これまでの通りいっぺんのマニュアルではなく、ユーザー目線で実際に使う場合にはどうしたらよいのか、作業や手順を具体的に説明するSOPを作成することにしました。SOPを使用することによって、誰がやっても同じ結果が出るようになります。

★ SOPの特徴

  • 技術が必要とされる背景
  • 具体的な導入対象者
  • 技術導入のメリット
  • 具体的な作業手順
  • 実際の作業工程の順に説明
  • 技術の導入事例
  • 図表を使ってわかりやすく解説

information

「SOPの一覧」はこちらから

★検索エンジンから下記キーワードで検索

★ 相談お待ちしています!

ご不明な点は、農業技術コミュニケーターが対応します。技術の開発者から詳細な説明を受けることができます。