農研機構

特集1 つながる×農研機構 ~地域とともに成長~

農研機構が自治体や生産者、企業と連携して取り組んでいる
社会実装の事例をご紹介します。

「水稲直播および子実用トウモロコシ普及促進会」活動で地域に貢献

見出し:岩手県x生産者xJAx企業

課題

大規模化に伴う営農課題

生産者の減少が進む一方で営農規模は大規模化し、コメ作りの省力化と低コスト化、大規模水田営農に見合った畑作物の導入が大きな営農課題となっていました。

取組

循環型農業の実現を目指す普及促進会

直播栽培が東北地域で着実に拡大しています。また、畑作では省力的に生産できる自給濃厚飼料として地域内の畜産に供給できる子実用トウモロコシの栽培への関心も高まっていました。そこで農研機構は、岩手県(市町村含む)、県内生産者(生産法人含む)、JA、企業(農機、種苗など)とともに「水稲直播および子実用トウモロコシ普及促進会」を2020年4月に発足させました。普及促進会は、現地検討会などでの栽培技術の普及と拡大、そして地域の水田農業の持続、耕畜連携による循環型農業の実現に取り組んでいます。

※直播栽培…田植えをせずに水田に種を播いて育てる栽培法

現場からのメッセージ

(有)盛川農場の盛川周祐さん

水稲乾田直播と子実用トウモロコシという普及が難しい課題ですが、普及促進会の活動により、生産者、行政、農機メーカー、種苗会社などの総合力で成果が出始めており、今までの産学官連携交流とはスピード感が違うと感じています。今後も過去2年の実績内容をよりアピールし、新しい取組の掘り起こしに果敢にチャレンジしていくことを期待しています。

盛川農場での現地検討会で拡声器を手に説明する盛川さん

サツマイモ作業改善で
さらなる生産拡大へ

見出し:茨城県x生産者x企業

課題

生産拡大へ

茨城県はサツマイモ(かんしょ)の生産額日本一。焼き芋、干し芋の人気が高まり、県ではさらなる生産拡大に取り組んでいます。

取組

収穫作業を効率化

生産拡大の大きな障害となっている人手不足の解消のため、手間がかかる収穫作業を効率化できる「かんしょ茎葉処理機」を開発しています。新しい機械では、これまで手作業で行っていた茎葉(つる)から土中の芋を1個1個分離する作業を自動化します。農家の労働時間を削減して、収穫作業の効率化による生産量20%以上アップを目指しています。

茨城県内産地で行われた、農研機構、茨城県、生産者、機械メーカーによる合同調査の様子

若い世代に魅力ある、稼げる!
スマートハウス園芸農業を目指して

見出し:高知県x大学

課題

生産農家が減少…

高知県では冬季の温暖な気象条件を生かした農業ハウスでの野菜(ナス、ピーマンなど)の栽培が盛んですが、近年は生産者の努力で生産額や出荷量は維持されているものの、生産農家数は減少しているのが現状です。

取組

人材を育てろ!

そこで高知県では、最先端技術である環境制御技術(農業ハウス内の光、温度、湿度、CO2濃度などを制御して生産を向上させる技術)に着目し、地元大学や農研機構と連携して、若い世代にも魅力ある、稼げるスマート農業への転換に向けたプロジェクト「Next次世代型こうち新施設園芸農業」を推進しています。この技術を農家に普及するためには、最先端のAI技術やビッグデータを処理する技術を理解できる人材が不可欠です。そこで農研機構が中心となり、県職員を対象にしたセミナーや技術研修を通じて、人材育成を支援しています。

現場からのメッセージ

高知県農業振興部の松木尚志さん

農研機構農業情報研究センターで1年間研修させていただきました。最先端のAIやビッグデータの分析技術の習得だけでなく、多様な分野の研究者の方と交流を持つことができとても刺激になりました。農研機構で得た経験は、高知でのプロジェクトの推進に大いに役立っています。今後も地域での最先端技術の活用につながる連携を期待しています。

ハウスでのセンサーの取り付けを見守る松木さん(写真右側)

宮崎ブランドポークの魅力を
消費者にアピール

見出し:宮崎県x生産者x企業

課題

口蹄疫からの復興に向けたブランド豚肉

宮崎県は全国第2位の豚肉の産地ですが、2010年の口蹄疫発生により大打撃を受けました。宮崎養豚の復興に向けて新たなブランドの立ち上げに取り組んでいます。

取組

多様な「おいしさ」を消費者にわかりやすく

そこで誕生したのが宮崎ブランドポークです。安全・安心やおいしさにこだわりをもって生産された宮崎県内の銘柄豚肉を一定の基準でブランド認定したものです。宮崎ブランドポークに認定された各銘柄豚肉の「おいしさ(味や食感など)」はそれぞれに特徴があります。この「おいしさ」の特徴やちがいをイメージしやすいようにまとめ、消費者に好みの銘柄を選ぶ楽しみを提供し、販売を拡大する取組を行っています。農研機構は、人が味覚などの五感を使い豚肉の味や食感を数値として評価し分析する最新の官能評価法の開発に協力しました。