農研機構

特集2

用途別 いろいろなサツマイモ

農研機構では新しい品種の育成に一生懸命取り組んでいます。品種の育成には通常は10年かかりますが、形質の異なるたくさんの系統を育成することで、その時々のニーズに合った品種を系統の中から選抜し、世の中に出していくことができます。サツマイモでも、病気に強い系統を遺伝子で選抜できるマーカー育種のような手法を開発して効率的に選抜を進め、新しい品種をリリースするまでの年数を短くしていきたいです。加えて、これらの品種を生産者の皆様に少しでも早くお届けできるよう、種イモの増殖も頑張っています。ここでは、今まで農研機構が育成した品種を紹介します。(小林 晃)

青果用品種
べにはるか

サツマイモの品種として、誰もが知るのがべにはるかです。その知名度は、例えるならお米で言うところの「コシヒカリ」でしょうか。色々な産地でブランド化されて普及し、生産面積も国内2位(15.4%)です。焼き芋ブームを牽引したねっとりとした食感と甘さで人気は不動です。

ゆきこまち

サツマイモは福島県あたりが産地化の北限とされてきましたが、北海道のような冷涼地でも収量が多く、ホクホクおいしい品質の良いサツマイモがとれます。従来の品種に比べてかなり多収なのも魅力の一つで、サツマイモの供給不足解消への貢献が期待されています。

すずほっくり

ねっとり系の甘い焼き芋が人気ですが、昔ながらのホクホク食感で上品な甘さのサツマイモはいかがですか?イモの形状や大きさの揃いが良いため加工しやすいというのも特徴です。

べにまさり

焼き芋にした時の濃いめの黄色が食欲をそそります。ねっとり系で、甘味があり、食味も良し!早く太るので早掘にも向いています。茨城県を中心に、九州にも普及が拡大中です。

あまはづき

品種のプレスリリース後すぐに問い合わせが殺到しました。というのも、糖度が極めて高く、早い時期(8月)に収穫した直後でも、ねっとり系の甘い焼き芋が作れるという、これまでにない特徴を持った注目の新品種だからです。

ふくむらさき

これまで紫系のサツマイモには、べにはるかのようなねっとり系で甘い品種はありませんでした。ふくむらさきは、べにはるか並の甘さとねっとり食感が特徴で、カラフルな色を生かしたサツマイモのスイーツづくりにもおすすめしたい品種です。

焼酎・でん粉用品種
サツマイモのでん粉は「わらびもち」にも!
コガネセンガン
黄金千貫と漢字で表されることも!

芋焼酎用の代表的な品種といえば、コガネセンガンです。生産面積も国内1位(22.1%)。焼酎蔵がコガネセンガンを好んで使うのは、コガネセンガンで醸造する焼酎の酒質が消費者に好まれているためです。芋かりんとうやでん粉にも利用できる万能性もあります。

こないしん

究める人」でも出てきた、多収で基腐病やつる割病に強い品種です。でん粉を意味する「粉」と変革を意味する「維新」を合わせて「こないしん」と名付けられました。

シロユタカ

名称は「豊かな収穫を呼ぶ白いいも」の意で、その名のとおり、コガネセンガンよりも収量が多いのが特徴です。でん粉用の品種として開発されており、鹿児島県ではコガネセンガンに次ぐ主力品種として生産されています。

みちしずく
焼酎にも、でん粉にもよい!

焼酎・でん粉用の新品種です。コガネセンガンよりも基腐病に強く、多収で、焼酎にした時の酒質はコガネセンガンの焼酎に似ています。でん粉収量が多く、でん粉の白度も高いため、でん粉用としても優れています。南九州の産地において、コガネセンガンに替わる品種として期待されています。現在、種イモの増殖に努めています。

加工用品種

消費者の嗜好の変化とともに
カラフルな品種の需要が高まっています。

ほしあかね
干し芋は手軽な和スイーツ!

干し芋加工用で、「べにはるか」や「ほしこがね」の干し芋に比べて、淡いオレンジ色で透明感のある美しい仕上がりの干し芋になります。

あかねみのり
健康的なおやつにぴったり

オレンジ色の肉色をもつ加工用サツマイモ新品種です。チップ等へ加工しても、きれいなオレンジ色の製品となります。