用語集

放射能汚染と農業に係わる専門用語を解説しています。次の索引から検索できます。

アルファ(α)線(あるふぁせん)
放射線の一つで、陽子2つと中性子2つで構成される高速の原子核。アルファ線は透過力は弱く紙一枚でも遮蔽できる。しかし、電離作用が強く、アルファ線を出す物質を体内に取り込んだ場合、人体が受ける影響が大きい。ウランやプルトニウムなどから発生する。
安定同位体(あんていどういたい)
同じ元素において中性子の数の違いにより質量が異なるものを同位体といい、このうち放射線を出さずに質量が変わらないもの。
移行係数(いこうけいすう)
土壌中放射性核種濃度に対する農作物中放射性核種濃度の比で、農作物や土壌の種類、または栽培管理法によって異なる。放射性核種濃度を算出する際には、土壌は乾燥重量当たりが一般的である。農作物は、乾燥重量当たりで示す場合と生重量当たりで示す場合があり、目的に応じて選択する。原子力災害対策本部では、玄米については「移行の指標」として0.1という値を用いている。
イメージングプレート
イメージングプレート
放射線に反応する蛍光体がプラスチックの支持体に塗布されたもの。放射性物質が含まれる試料をこのプレートに置いて一定時間カセッテ内で露光させた後、イメージングアナライザー上でプレートにレーザービームを走査させると、試料に含まれる放射性物質の面的分布に応じて発光する。この光を光電子増倍管で検出して、二次元的な放射性物質の分布情報がデジタルデータとして得られる。
イライト
農地土壌に存在する粘土鉱物のひとつ。薄いシート状の層が積み重なる結晶構造を持ち、層間の負電荷がある場所はセシウムイオンを閉じ込めるのにちょうどいい大きさの穴になっている。イライトの層間にある陽イオンはカリウムイオンで、他の粘土鉱物に比べてセシウムイオンを交換する性質が強い。交換後層間がせまくなり、他のイオンは入ってこられなくなり、セシウムイオンは固定される。
  • 参考文献
  • 岩生周一ほか,1985,粘土事典,朝倉書店
インクリメントスコップ
インクリメントスコップ
土壌や堆肥などの特定廃棄物から分析用の試料を採取するために用いられるスコップ。500g~1㎏程度の試料を採取できるサイズが便利である。
ウェル型専用容器
ウェル型専用容器(うぇるがたせんようようき)
プラスチック製の試料容器(写真左)で試料量が少ない場合に用いられる。円筒形で蓋が付き、容量は5ミリリットル。ウェル型(井戸型) ゲルマニウム半導体検出器のセンサーの中央にある円筒形のくぼみに入れて測定する。この装置は、センサーが容器を取り囲む状態になるので、効率よく測定できる(写真右)。
汚染状況重点調査地域(おせんじょうきょうじゅうてんちょうさちいき)
放射性物質汚染対処特措法で定められる地域のひとつ。空間放射線量で1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上が基準となり、平成23年12月に8県102市町村が指定された。指定された市町村は、除染実施計画について財政支援を受けることができる。しかし、風評被害が広がることを懸念して指定を辞退する市町村もある。また、一部の市町村で空間線量率が減少したことから、指定が解除されている。現在、8県99市町村が指定されている(平成26年11月17日現在)。
汚染廃棄物対策地域(おせんはいきぶつたいさくちいき)
放射性物質汚染対処特措法で定められる地域のひとつ。放射性物質で汚染された廃棄物の処分などを、国が行う必要があるとされる地域。警戒区域または計画的避難区域に加え、福島県の11市町村が指定されている。