活動記録:2020(令和2)年度
  • 当該年度のスタッフの活動状況やニュースを新しいものから並べています。
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 ❖ アライグマ対策で知っておきべき「3つ」のカギ(R3.3月)
小坂井らが令和元年度1月に行われた「令和元年度茨城県アライグマによる農作物被害状況及び対策に関する調査報告会」において講演したアライグマの被害対策を行う上で重要な2つの項目についてまとめた資料を、一部改変して掲載します。捨てる果実であっても、アライグマ等の鳥獣にとってエネルギー獲得効率の高い餌となってしまっていることを明らかにした研究成果も紹介しています。

「アライグマ対策で知っておきべき3つのカギ(PDF 1.1MB)」はこちら

 ❖ 「動物の行動と管理学会誌」にスズメの糸による侵入抑制効果に関する論文を執筆(R3.1月)
動物の行動と管理学会誌56巻4号に、山口が「スズメの侵入抑制に効果的な糸の設置間隔」(p.105-111)を執筆しました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabm/56/4/56_105/_article/-char/ja

スズメの糸による侵入抑制効果を飼育試験で調べたところ、上面に糸を10-20cm間隔で平行に張ることにより、糸を張らない場合に比べ、侵入頻度は約1/10-1/15へと減少することが分かりました。この間隔で糸やテグスを圃場の上面に張ることで、スズメの被害をある程度軽減することはできると考えられます。ただし、側面や地面からの侵入を防ぐ対策は必要ですし、広い面積ではどうかなどまだまだ課題は多いです。

❖ 作物別鳥獣害痕跡図鑑の公開(R3.1月)
農作物が被害にあっていても、どの鳥獣による食害か判断するのは難しいものです。加害鳥獣が明らかなものや、推測されるもの(その根拠)などを、作物等から調べることができます。加害鳥獣を明らかにして適切な対策をとるのにお役立てください。

鳥獣害痕跡図鑑のページはこちら

 ❖  カモ類の被害対策研究について(R3.1月)
カモ類による農地への加害特性の解明と効果的な対策手法の開発のため、全国の被害額の半数以上を占める茨城県におけるレンコン食害に注目して研究しています。現在、ハス田周辺における鳥類調査を実施中です。
調査について詳しくはこちら(PDF 1.4MB)

このほか、カモ類等の加害行動や、食害の発生状況について調査を行っています。

 ❖ アジアのツキノワグマの現状に関する総説を発表(R2.12月)
 ケンブリッジ大学出版から出版された「世界のクマ類の生態、保全、管理」についてまとめた書籍において、小坂井がツキノワグマの章を筆頭著者として執筆しました。アジアにおける農作物被害の現状にも触れています。

書籍の情報
Chinatsu Kozakai, Ivan Seryodkin, Koji Yamazaki, Sangay Wangchuk, Shinsuke Koike, Toshio Tsubota, Yonten Jamtsho. 10. Asiatic black bear. Bears of the World: Ecology, Conservation and Management, 110-121 Cambridge University Press (2020)

 ❖ 「日本野生動物医学会誌」に野生ニホンジカにおける先天性奇形胎子の初報告に関する論文を執筆(R2.12月)
 日本野生動物医学会誌25巻4号に、秦らが「Severe jackknife-like kyphosis malformation in the fetus of a free-ranging sika deer (Cervus nippon)」(p.141-145)を執筆しました。

野生ニホンジカでは初の事例となる先天性奇形胎子を発見し、症状と発生原因の調査を行いました。CT撮影と解剖を行ったところ、重度の脊柱後弯等の骨格異常をはじめとする複数の異常がみられました。病理検査と遺伝子検査の結果から、病原体の感染が奇形発生の原因となった可能性は低く、遺伝子異常が原因である可能性が高いことが分かりました。

 ❖ 「植物防疫」誌にテグスによるカラス対策について執筆(R2.8月)
 植物防疫(日本植物防疫協会発行)2020年8月号に吉田と佐伯が『テグス(釣り糸)を利用した果樹園へのカラス侵入対策』(p8-13)を執筆しました。

前年11月にApplied Entomology and Zoology誌に発表した、「くぐれんテグス君」開発に至る一連の試験についての論文の内容を中心に、果樹園以外への応用やテグスによる鳥害対策の限界についても紹介しました。

 ❖ 被害グラフを更新(R2.6月)
 農水省がとりまとめている被害統計から、下記資料内の鳥の被害グラフを更新しました。
  • 鳥害対策のページ
  • 鳥害研修用テキスト
 ❖ 新メンバーが増えました(R2.4月)
2020年4月より益子が鳥獣害グループの一員として加わりました。カモの被害対策研究に携わります。よろしくお願いします。
自己紹介です。
「国土技術政策総合研究所の緑化生態研究室にいましたが、任期満了でこちらに拾われました。茨城県の田園風景を主なフィールドにシラサギたち(+人との軋轢)を追いかけ、鷺師歴10年以上ですが、これからは鴨師修行。朝型から夜型に転向するカモ。」

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