農研機構

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野上浩太郎農林水産大臣 農研機構を訪問

10月12日、野上浩太郎農林水産大臣が農研機構を訪問されました。新品種登録のための栽培試験、ITCほ場水管理、自動運転農機、ドローンによるほ場モニタリングなどを視察され、久間理事長らとスマート農業をはじめとした先端技術とその社会実装について、意見交換を行いました。

動画で見る「イチゴ」

YouTube「NARO Channe(l なろチャンネル)」にて、農研機構の研究成果や開発品種についての動画を公開しています。今回はおいしくて個性派のイチゴ品種を紹介します。

大粒で収穫・調製作業の省力化が可能な多収イチゴ品種

「恋みのり」

「恋みのり」は、生産者の立場に立って「省力化」をキーワードに開発された品種です。摘花や下葉かきといった作業を大幅に省力化でき、大規模経営や担い手不足に対応しています。果実がしっかりしていてパック詰めや収穫作業しやすいのも特徴で、日持ちもよく輸出にも向いています。

おいしいからヘルシーまで多様なニーズに応えるイチゴ

「おいCベリー」

「おいCベリー」はビタミンCが豊富なイチゴです。ビタミンC含量が高い品種「さちのか」の1.3倍にもなります。糖度も高く、濃い赤色でおいしいイチゴです。直木賞作家、荻原浩さんの小説「ストロベリーライフ」にも出てきます。

他にも、冷涼な気候を利用して夏に収穫するイチゴ(夏いちご)も、「NARO Channe(l なろチャンネル)」にて紹介しています

温暖化条件下で威力を発揮する

水稲の再生能力を生かした米の飛躍的多収生産

水稲は多年生の性質を持つため、収穫後の刈り株から新たな芽「ひこばえ」が出てきます。このひこばえを栽培して2回目の稲を収穫するのが「再生二期作」です。
農研機構は、春秋の気温も高く生育可能期間の長い九州地域なら、再生二期作でより多くの米を収穫できるのではと考えました。そこで多収の品種を使い、1回目の稲が十分に成熟した時期に、株元から高い位置で刈り取って収穫し、刈り株に葉と茎を多く残すという工夫で、試験ほ場レベルで生産現場の平均収量の3倍に当たる約1.5t/10aの飛躍的な多収を達成しました。

オレンジ色の加工用サツマイモ新品種

あかねみのり」と「ほしあかね」

農研機構は、オレンジ色の肉色が特徴的な加工用サツマイモ新品種「あかねみのり」と「ほしあかね」を育成しました。ともに食味・品質に優れ、いもの形状が良いため加工作業が容易です。チップ加工適性が高い「あかねみのり」は、チップ用として九州地域での普及が主に期待されています。「ほしあかね」は、干しいもに加工した際の透明感ある美しい仕上がりが魅力。茨城県を中心に干しいも生産地帯で普及が見込まれます。

10月22日・富山市

遠隔監視ロボット 農機現地実演会

農研機構を代表とするSIP「スマートバイオ産業・農業基盤技術」スマートフードチェーンコンソーシアムでは、政府目標の"ほ場間での移動を含む、遠隔監視による無人自動走行システムの2020年までの実現"を目指し、関連の技術開発を進めてきました。
富山市内で行われた本実演会では、事前に農地基盤整備施行後、ドローンで測量した当該エリア内の点群データを上記SIPコンソーシアムが開発したロボット走行シミュレータに入力し、安全に走行できる経路、ほ場出入口における走行軌跡を作成。これに沿ってロボットトラクタが作業完了したほ場から、次のほ場へ自動でシームレスに移動する技術を紹介しました。
また今回の実演会開催に際しては、「農道における車両の通行に関する措置」を活用し、農道の通行止めなどの措置がとられ、技術開発と同時に取り組むべき、インフラや社会制度上の対応事項についても明示しました。

編集後記

  • 広報NARO18号を読んで、過去の記事も気になったという方は、農研機構HPのバックナンバーへどうぞ。16号17号はスマホやタブレットでも読みやすい仕様なので、スキマ時間や移動中に気軽にチェックしてみてくださいね。(飯)
  • 「稲」をテーマにした本誌はいかがでしたでしょうか? 作る人にも食べる人にも喜ばれるお米を目指してこれからも研究は続きます。記事に登場した研究者の熱い想いが読者の皆様へ伝われば幸いです。「究める人」でインタビューした長岡さんがおすすめのお米「つきあかり」。お話を聞いていたらどうしても食べたくなって、通販で購入してしまいました! 次号では「花」をテーマに農研機構の研究活動をご紹介いたします。(S)