NARO TOPICS
IPCC報告書とりまとめ
農研機構職員が総括執筆責任者として貢献

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2022年2月28日、人的被害の影響や対応策を分析した第2作業部会(WG2)報告書を公表。農研機構・農業環境研究部門の長谷川利拡グループ長が、総括執筆責任者として、第5章(食料、繊維、その他の生態系産物)のとりまとめと概要の執筆を行いました。WG2全体の「政策決定者向け要約」および技術要約の執筆も担当するなど貢献しました。また、同部門の若月ひとみ研究員も、第5章と第9章(アフリカ)の執筆協力等に貢献しました。
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農研機構 東北農業研究センターの菜の花畑
岩手県盛岡市にある農研機構東北農業研究センターでは、5月の中頃になると約400アールのほ場に菜の花の黄色いじゅうたんが広がります。このほ場では、麦の新品種育成や栽培試験を行っており、連作障害防止や緑肥を目的として菜の花が作付けされています。そのため菜の花が満開となった直後、刈り倒し、秋にすき込みを行います。残雪の岩手山を背景とした雄大な風景をお楽しみください。

写真は動画「満開の菜の花畑」の1シーン
プレスリリース
健康維持のためのミールセットの販売を開始
NARO Style®PLUS MEAL SET
健康寿命の延伸には生活習慣病(脂質異常症や糖尿病など)への対策が重要です。そこで農研機構は、(株)フローウィングと共同で健康維持のための「NARO Style®PLUS MEAL SET」を開発、今春から冷凍品として販売されています。当ミールセットは、機能性成分(食物繊維、カロテノイド、ポリフェノール)を多く含む農産物を使用した「NARO Style®弁当」※のおかずを1種類増やして栄養成分を調整した弁当と「べにふうき」緑茶粉末スティックで構成。個人での購入はもちろん、企業の健康経営の一環としての利用も期待されます。
※「NARO Style®弁当」で2015~2016年にヒト介入試験を実施。肥満傾向にある被験者137人に同弁当を摂取してもらったところ、6週間後、12週間後に内臓脂肪面積が有意に減少する効果が見られた。

おかず4種類、β-グルカン高含有の「キラリモチ」入りもち麦ごはん、「べにふうき」緑茶がセットになったNARO Style®PLUS MEAL SET
画像提供:(株)フローウィング
プレスリリース
切っても茶色くならないリンゴの誕生に期待
変色に関わる遺伝子領域を特定
「ふじ」をはじめ、多くのリンゴ品種は、果実をカットすると短時間で茶褐色に変色(褐変)し、見た目や風味が損なわれてしまいます。そこで農研機構は青森県産業技術センターと共同で大規模な遺伝解析を行い、リンゴ果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を3カ所特定。これらを選抜するためのDNAマーカーを開発しました。本成果により、カットしても変色しにくいリンゴ品種の育成が進めば、リンゴ加工品の活用の場面も広がると期待されます。

茶色く変色した「ふじ」の切断面
プレスリリース
イネ害虫の発生状況をAIで自動判別
1時間以上かかっていた調査が数分で可能に
農研機構では、イネの重要害虫であるウンカ類を専門家並みの高い精度で認識し、自動計数するAI技術を開発しました。イネウンカ類3種を雌雄や幼虫・成虫など18に分類し、90%以上の精度で見分け、とくに近年被害が多発している「トビイロウンカ」については、95%以上の高精度で認識します。これまでのウンカ類の発生状況の調査は、粘着剤を塗った調査板に向けて葉や茎に付いた害虫をはたき落とし、それを専門家が目で見て種類や数を集計するために、発生が多いときには調査板1枚につき1時間以上かかっていました。本技術の開発により、調査時間を3~4分に短縮できるうえ調査精度が均一化され、害虫の的確な防除や被害発生の予測に役立つことが期待されます。

イネの収量に悪影響を及ぼす「トビイロウンカ」体長:約5mm)

水田で収集した調査板をAIで認識、計数させた例
農研戯画




