農作業安全コラム

歩行用トラクタの積み下ろしに使用する歩み板

R3年10月 梅野 覚

 耕うん機や管理機といった歩行用トラクタは、バイクと同様に軽トラックに積み込んだり、軽トラックから下ろしたりすることがあります。この積み下ろし時に、地面と軽トラックの荷台を繋ぐ歩み板(ブリッジ、ラダー)を使用されていると思いますが、皆様は歩み板の適切な長さをご存じでしょうか。

 歩行用トラクタの取扱説明書を見ると、歩み板の長さに関してはトラックの荷台高さに対し、4倍以上の長さのものを使用することと記載されています。通常、軽トラックの荷台高さは約65cmですので、歩み板の長さは2m60cm以上のものが必要となります(図1)。しかし、現状ではこの長さより短い歩み板が使用されているのをよく見かけます。短い歩み板を使用すると、傾きが急となり歩行用トラクタの積み下ろし時に転倒・転落の危険性が高まります。

図 歩行用トラクタ積み下ろし時の様子
図1 歩行用トラクタ積み下ろし時の様子

 とはいうものの、長い歩み板だと歩行用トラクタと一緒に軽トラックに載せることができないことが予想されます。積み下ろしをする場所ごとに歩み板を置いておく手もありますが、折りたたみ可能でかつ強度のある、十分に長い歩み板も市販されています(図2)ので、それを使用するのもお勧めです。また、歩み板は荷台にしっかりと固定できるものを選びます。

図 折りたたみ可能な歩み板の一例
図2 折りたたみ可能な歩み板の一例

 トラックの荷台への農業機械の積み下ろし時における重大事故が頻発しています。このコラムをお読みいただいている方で、短い歩み板を使用して歩行用トラクタの積み下ろしをされている方がいらっしゃいましたら、事故が起こってしまう前に是非対策をしてください。

 

キーワード:事故/安全装備・対策/歩行用トラクター/運搬・移動
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