農作業安全コラム

「農作業安全に関する指導者向け研修」に関わっていただいた地域の皆様へ

R4年8月 志藤 博克

 昨年末から年度末にかけて標記の研修が全国で行われ、約3,700名もの方々が受講してくださいました。受講者の皆さんに御礼申し上げるとともに、研修会の開催に携わった皆様のご尽力に敬意を表します。私も17の県で講義を担当させていただきましたが、長時間にわたる研修にもかかわらず、熱心に受講していただいた皆さんの姿が印象に残っています。「農作業安全についてまとまった話を初めて聞けた」「様々な切り口の内容だったので飽きなかった」などの感想が寄せられ、お陰様で研修は概ね好評であったものと思われます。「さっき聞いた啓発活動はうちでもやれそうだね」「農機を売るときにヘルメットを付けるのはどうだろう?」といった会話を休憩時間に耳にすることもあり、今後の農作業安全の進展への期待に胸が膨らむ思いでした。一方、「すぐには農家の前で話す自信がない」「研修会の他にどのようなことに取り組んだらよいのかわからない」といった声も聞かれましたが、今回初めて農作業安全に関わることになった方にとっては、それも無理からぬことです。

 指導者向け研修では「農作業事故を自分事として考える」をテーマに掲げました。事故の発生状況は地域によって様々ですので、地域の中で問題を把握し、対処する必要があります。こういったことを個人で取り組むことは難しいので、せっかく様々な立場の受講者がおられるのですから、ネットワーク化してお互いに知恵を出し合えるような場を設けていただけたらと思います。行政やJA中央会等がとりまとめ役になっていただくか、あるいは既存の農作業安全推進協議会やそれに類する枠組みの活用も考えられます。GAP団体等の新たな仲間も加わるかも知れません。また、多くの会場で労働安全コンサルタントの先生方が受講されました。地域活動の知恵袋として、心強い味方になっていただけると思います。各々ができることをやる、とすることで活動の幅を広げつつも、各々の労力を軽減することも期待できます。研修テキストの第4章には、お手本となる取組事例も紹介していますので、まずは気がついた人から地域の「仲間」に声をかけて動き出しませんか?肝心なのは一人一人が「自分事」として取り組んでいただくことです。

 農作業安全のあり方については各論ありますが、「農作業安全とは与えられるものではなく、自らが創り出すもの」であるのが、現実です。私たち農機研も、皆さんと一緒に「自分事」として農作業安全を創り出すべく邁進して参りますので、ご相談等がございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

 

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