農作業安全コラム

後悔、先に立たず

R7年2月 積 栄

  先日、ちょっと遠いのですが家族でお気に入りの定食屋さんを数ヶ月ぶりに訪ねたところ、普段は営業中の時間にも関わらず「準備中」の札がかかり、店に人の気配もありませんでした。以前からご主人が「体調のこともあるので、いつまで続けられるか・・・」とお話されていたこともあり、「たまたまお休みだっただけで、お元気であれば良いけど・・・」と「無理してでも、もう少し早く来るべきだったか・・・」の二つの思いが、しばらく頭から離れませんでした。

  思い起こせばこの5~6年、特にコロナ禍もあって、お気に入りのお弁当屋さんや喫茶店がこれまでにもいくつか、気付いたときには閉店してしまっていたのでした。お店がなくなったことも残念ですが、最後にお礼やご挨拶もできなかった、ということにも、後悔の念が残っています。

  農作業事故を現地調査していると、被災された方やそのご家族から、「対策しておこうとは思っていたが、その前に事故になってしまった」というお話を聞くことがあります。ご事情はそれぞれですが、やはり皆さん、後悔されているご様子でした。
  本ウェブサイトのコンテンツ「事故事例検索」の冒頭にも示しているように、事故の要因は被災者に関するもの(誤操作、よそ見など)だけでなく、「機械や用具など」「作業環境」「作業や管理の方法」にも潜んでおり、これらに対策を講じることで「たとえミスしても事故にはなりにくい」現場を創ることができます。そして、事故に遭われた方の多くは、その苦い経験と後悔を踏まえて、機械や環境、作業方法等を見直し、具体的な改善に取り組まれています。

  もし、その対策を「事故が起きる前に」行っていれば・・・

  来シーズンに皆さんが「後悔」してしまうことがないように、「事故事例検索」で様々な事故の要因と対策方法を眺めながら、ご自身やご家族、仲間が働く現場で改善しておくべきことを見つけ、取り組んでみていただければ幸いです。
  この農閑期がチャンスです。

 

キーワード:事故/安全装備・対策
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