農作業安全コラム

防ぐ・備える

R7年7月  紺屋 朋子

  今年もすでに熱中症警戒アラートが発表され、暑い夏が始まります。農業では、熱中症のリスクと常に隣り合わせです。最新の農作業死亡事故(令和5年)において、熱中症による死亡者は37人(15.7%)と増加傾向にあり、また、令和6年度の夏季において、田畑等で農作業中に熱中症によって緊急搬送された人数は2,322人と、直近5年で最多となる(農林水産省:令和7年度熱中症対策研修テキスト)など、まさに他人事ではありません。
  これまで本コラム内でもご紹介した、熱中症予防のポイント(R5年7月 )、熱中症一歩手前の「かくれ脱水症」の見分け方(R6年6月 )等も改めてご参考にしていただき、熱中症を防ぎましょう。

  さらに、発症に備えることも対策に取り入れましょう。
  職場における熱中症への対策を強化するために、労働安全衛生規則が改正(6月1日施行)されました。
  職場における熱中症による死亡災害では「初期症状の放置・対応の遅れ」が課題であることを背景に、「死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策」が求められることになりました。具体的には、「見つける・判断する・対処する」の一連の対応を確実に取れるよう、現場の実態に即した「体制整備」、「手順作成」、「関係者への通知」が、労働者を雇用するすべての事業者(個人経営の農業者も含まれます)に義務付けられました。詳細は、「職場における熱中症対策の強化について」(厚生労働省) や「令和7年度熱中症対策研修テキスト」(農林水産省技術普及課)等、各種資料をご覧ください。

  法令による義務は、事業者に対するものですが、熱中症の危険は、雇用形態に関わらず、全ての皆さまに共通します。義務か否かに関わらず、安全に夏を乗り切れるよう、自分ごととしての熱中症対策を、確実に実行しましょう。

 

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