農作業安全コラム

農業機械の安全性能アセスメント

R7年9月  塚本 茂善

  私ども農研機構が実施している農業機械安全性検査(以下、安全性検査)が令和7年4月1日から新たに再スタートしたことについては5月のコラムで紹介いたしました。新たな安全性検査では、農用トラクター(乗用型)、農用トラクター(歩行型)、田植機(乗用型)、コンバイン(自脱型)、乾燥機(穀物用循環型)の5機種を対象にスタートしています。これまでの検査実績が十分ではないその他の機種については、対象機種から一旦除外した上で、安全性能を評価及び公表する「製品アセスメント」を行い、市販機の安全水準を関係者に広く明らかにした上で、対象機種への移行を進めるとされており、今後も農業現場の実態を踏まえながら安全性検査の対象機種を追加していくことにしています(※)。

  「製品アセスメント」は農林水産省が令和4年度から実施している「農業機械の安全性能アセスメント委託事業」で行っているもので、令和4~5年度は農用運搬車に係る完全性能評価基準の策定と供試機の評価を実施し、公表しています。また、令和6年度からは農用高所作業機についても同様の取組を実施中で、令和7年度中に試験結果報告書をとりまとめることになっています。
  令和4~5年度に実施した農用運搬車の製品アセスメントの結果については、試験結果報告書として掲載されています。表はその報告書に掲載されているもので、供試した農用運搬車が具備する安全性能等を安全装備検査2018年基準に照らして確認した結果事例の1つです。詳細については下記ウェブサイトの報告書をご覧下さい。なお、現在製品アセスメントを実施中の農用高所作業機についても、事業終了後にウェブ上で結果が公表されます。私どもは安全性の高い農業機械の開発を促進するため、メーカーの理解と協力を得ながら、製品アセスメントの結果を踏まえて安全性検査基準を策定した上で、これらの機種を順次検査対象に加えていく予定です。


※:農林水産省HP「農業機械の安全性能アセスメントについて」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_kikaika/anzen/asesument.html

 

キーワード:安全装置・対策/農用運搬車/農用高所作業機/運搬・移動
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